「自信がない」と感じるとき、子どもは何もしていないようで、実は心の中で立ち止まっています。
できない自分を責める前に、まず足元を整えてあげたい。
そんな場面で、絵本ができることがあります。
大きな成功や前向きな言葉を与えるよりも、「そのままで大丈夫」という感覚をそっと戻すこと。
そこから、小さな一歩が自然に出ることも少なくありません。
この記事では、自己肯定感の土台を整え、失敗しても戻れる道を残してくれる絵本を、児童書専門の司書の視点で選びました。
あわせて、親の気持ちを支える一般書も2冊だけ紹介します。
今の気持ちに近い一冊から、ゆっくり開いてみてください。
はじめに|入口の3冊(早見)
今の気持ちに近い一冊が、先に見えるように並べました。
気になるところから、本文でゆっくり確かめられます。
まず“だいすき”を手渡す|愛されている確信が土台になる
自信が揺れているとき、子どもは「できる・できない」以前に、自分の立ち位置を見失いがちです。
先に必要なのは、評価や結果ではなく、「ここにいていい」という感覚。
絵本は、その確信を静かに手渡せます。
『あなたがいるだけで(おばあちゃんからのてがみ)』|条件なしの「大切」が残る
『あなたがいるだけで おばあちゃんからのてがみ』は、おばあちゃんの手紙で「生まれてくるまでの時間」をそっと振り返る絵本です。
迎える準備をしていた家族の気持ちが語られ、存在そのものが喜びだったことが伝わってきます。
森にくらすクマの家族をモチーフにした絵もあたたかく、眺めているだけで呼吸が落ち着きそう。
読み終わりに残るのは、評価ではなく「迎えられていた確かさ」。
自信を立て直したいとき、静かに戻れる一冊です。
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失敗で固まる日に。
おばあちゃんの手紙が「迎えられていた時間」を思い出させ、評価の軸をいったんほどきます。
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『あなたのすてきなところはね』|見てもらえた実感が、自分に戻す
『あなたの すてきな ところはね』は、子どもが「今日ここにいる」こと自体を、言葉で確かめ直す絵本です。
笑顔やしぐさなど、身近な“すてき”が積み重なり、抽象ではなく手触りで伝わってきます。
読んでいる間、評価の物差しが前に出にくく、見てもらえた実感が残りやすい構成。
比べて自信がゆらいだときも、自分の輪郭を取り戻すきっかけになりそうです。
比べて縮んだ日に。
いま目の前の「すてき」を言葉にして渡し、子どもの芯へ静かに戻していけます。
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「できた」を増やす入口|一歩を小さくすると動ける
自信がない状態の子は、能力より先に「失敗の予感」に足が止まりやすくなります。
大きな励ましより、「一回だけ」「ここまでだけ」と区切れる見通しが助けになります。
絵本の中で小さく始める経験を重ねると、現実の一歩も軽くなりそうです。
📘 最初の一歩が重い日は、挑戦する気持ちを育てる絵本特集も参考になります。
『とりあえずやってみようよ』|「まず一回」が選べて、動き出しが軽くなる
『とりあえず やってみようよ』は、新しいことが不安で動けない鳥のボブが、「まず一回」を選ぶところから始まる絵本です。
完璧にやるより、体を少し動かすことへ意識を向け直していきます。
一度やってみた体験が、次の一歩の土台として残りやすい構成。
失敗の想像で固まりやすい子にも、「やってみてもいい」が入りやすくなります。
挑戦の入口を小さくしておきたいときに、そっと置ける一冊。
失敗の想像で固まる日に。
「まず一回」を選ぶ鳥のボブの話が、動き出しの重さを少し軽くします。
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『くちぐせえほん―きみのこころをつよくする』|行動の前に、自分にかける言葉を整える
『くちぐせえほん―きみのこころをつよくする』は、ふだん口にしている言葉が気持ちや行動にどう響くかを、例とイラストで確かめる絵本です。
「だって」「むり」などの言い回しと、「だいじょうぶ」「やってみよう」などの言い回しが並び、違いが目で追えます。
読むあいだは説教の空気が前に出にくく、「じゃあ今日はどれにする?」と選べる形。
不安が強い日ほど、頭の中の言葉が荒れやすい子にも入りやすく感じられます。
「できない」から始めずに、まず一回へ戻る足場が残ります。
失敗が怖くて言葉がきつくなる日に。
「だって」「むり」を言い換える例が見え、動く前の気持ちを整えやすくなります。
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失敗しても「大丈夫」に戻る|立て直しが早くなる物語
失敗したあとに残りやすいのは、できなかった事実よりも「恥ずかしい」「もう無理」という感覚かもしれません。
ここで必要なのは反省より回収。
気持ちが折れきる前に、元の場所へ戻れる道を残しておくことが助けになります。
📘 うまくいかなかったあとに戻る感覚は、失敗から立ち直る力を育てる絵本にもつながります。
『ババが言います』|失敗をそのまま受け止めてもらえる安心
『ババが言います』は、孫が日常の出来事や失敗を打ち明け、ババが受け止めるやりとりを描いた絵本です。
「こうしなさい」と正す前に、話を置ける時間が先に来ます。
言い訳を組み立てなくても、「ここにいていい」という感覚が残りやすい。
読み終わりに残るのは、反省より「次どうする?」へ向かう余白です。
失敗が恥に変わりそうな場面で、気持ちをいったん落ち着かせたいときに合います。
失敗で固まる日に。
孫の話をババが受け止めるやりとりが、説明なしで落ち着きを連れ戻します。
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『しっぱいしたって いいんだよ』|終わらない感覚が残る
『しっぱいしたって いいんだよ』は、いとこの失敗を許せず怒ってしまうガストンが、出来事を通して相手の気持ちに気づいていく絵本です。
正しさを先に押し出すより、「失敗は起きるもの」と置くところから始まります。
自分も同じ失敗をしてしまい、そこで初めて相手の側が見えてくる。
パパとの会話の中で、あやまること・ゆるすことが少しずつ言葉になります。
読み終わりに残るのは、「次はどうする?」へ向かう余白。
失敗のあとを早く立て直したい場面に合う作品です。
失敗で固まる日に。
怒りや恥の前で立ち止まり、あやまる・ゆるすを「次の一手」に変えていけます。
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📘 「失敗が怖い」が前に出るときは、完璧主義がつらい子への絵本も参考になります。
『大ピンチずかん』シリーズ|重さを笑いに変えて、心を戻す
『大ピンチずかん』シリーズは、子どもに起きやすい失敗やハプニングを、図鑑のように並べて眺める絵本です。
深刻さを足すより、「あるある」として見立て直す仕掛けが先に来ます。
大ピンチレベルの見え方が入るので、気持ちの重さをいったん外に置きやすい構成。
笑えたあとに、立て直しへ自然につながっていきます。
落ち込みが長引く日に。
失敗を“あるある”として眺め直し、明るさを先に取り戻しやすくなります。
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友だちの輪に入る前に|同じ場にいられる安心を作る
輪に入ること自体が目標になると、体も気持ちも固まりやすくなります。
先に整えたいのは、話す・混ざる以前に「ここにいていい」という感覚。
絵本は、入る前の不安をほどき、同じ場にいられる足場を作ります。
『ドキドキ! きんちょうなんて こわくない(こころってふしぎ!)』|体のこわばりがほどける見通し
『ドキドキ! きんちょうなんて こわくない(こころってふしぎ!)』は、発表会の前に不安になった子が、相棒のぬいぐるみに相談するところから始まります。
緊張を「なくす」より、体に起きる反応を順にたどり、どうなっていくかを確かめていきます。
先が見えると、こわさが少し和らぐもの。
本番に向けた“とっておきの作戦”が示され、気持ちを立て直す入口になります。
話す前に体が固まってしまう子の、足元を支える一冊として置きやすい内容です。
発表会や教室で体が固まる日に。
緊張の仕組みと“コツ”が見え、最初の一歩へ戻りやすくなります。
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『カラーモンスター がっこうへ行く』|気持ちが言葉になると、足場ができる
『カラーモンスター がっこうへいく』は、はじめて学校へ行く日に、不安でいっぱいのモンスターを描く絵本です。
学校が何なのか分からないまま出かけるので、心配がふくらむ感じが先に来ます。
女の子と一緒に学校へ行き、楽しいことや友だちに出会っていく中で、見通しが少しずつ立っていきます。
「緊張をなくす」より、分からなさを小さくしていく作り。
輪に入る前に、同じ場にいられる安心を作りたいときに合います。
はじめての場所がこわい日に。
学校の中身が見えてきて、不安を抱えたままでも一歩目を置きやすくなります。
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比べる気持ちが強い日に|等身大へ戻れる絵本
比べる気持ちが強くなると、良さを見つける前に縮んでしまいます。
ここで必要なのは、競う材料を増やすことではなく、熱を下げて自分の位置へ戻ること。
絵本は、比較の回路を外し、落ち着く順番を示してくれます。
『キリンのなやみごと』|比べる癖がほどけて、ペースが戻る
『キリンのなやみごと』は、首が長すぎて目立つことに悩むキリンのエドワードのお話です。
ほかの動物の首がうらやましく見えて、つい比べてしまう気持ちが先に出てきます。
そんなある日、首の短いカメが現れ、エドワードにしかできない「お願いごと」を持ちかけます。
やり取りの中で、悩みの見え方が少しずつ変わり、同じ場にいられる感覚が育っていきます。
読み終わりに残るのは、誰かと同じにならなくても進める、という静かな、しかし確かな感覚です。
比べて疲れた日に。
長い首が悩みのキリンが、出会いをきっかけに見方を入れ替えていきます。
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『だれだって』|違いを受け取り、等身大でいられる
『だれだって』は、「だれだって〜」の言葉を繰り返しながら、みんなの共通点を並べていく絵本です。
楽しいときもあれば悲しいときがあり、怒ったり、こわくなったりもします。
違いを比べて結論を出すのではなく、「同じところも多い」と気づかせる作り。
自分だけ足りない感じが強い日も、見ているうちに視点が少し動きます。
否定の手前で気持ちを立ち止まらせ、等身大へ戻る足場を作ってくれそうです。
比べて苦しくなる日に。
「だれだって〜」の反復が共通点を見せ、足りない感覚を少し横へ置けます。
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親の心も守る2冊|毎日を軽くする考え方を整える(一般書)

子どもの自信を支える時間は、どうしても長くなります。うまくいかない日が続くと、親の側の余裕が先に削られがちです。
ここでは、すぐに答えを出すためではなく、関わりを続ける力を整える本を並べました。
『親の習慣100 子どもの自己肯定感がどんどんあがる!』|毎日の関わりを積み上げで見直す
『親の習慣100 子どもの自己肯定感がどんどんあがる!』は、特別な声かけや一発逆転を前提にしない育児書です。
「毎日のハグ」や「お手伝い」など、生活の中で試しやすい工夫を100例で並べます。
できていない点を数えるより、続けられている点へ視線が移る構成。
親子関係を長く保つための現実的な考え方が、淡々と残ります。
気持ちが擦り減った日に。
派手な正解探しをやめて、今日できる小さな関わりへ戻せます。
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『何があっても「大丈夫。」と思える子に育つ 子どもの自己肯定感の教科書』|考え方を整理し、支えを長く保つ
『何があっても「大丈夫。」と思える子に育つ 子どもの自己肯定感の教科書』は、子どもの自己肯定感を「今の気分」だけで判断しないための整理から始まります。
タイプ診断や、“土台(安心感)”のつくり方など、見取り図が先に置かれる構成です。
章ごとに、声かけや関わり方が具体の場面で示され、忙しい日でも拾い読みしやすい印象が残ります。
比べて縮む時期に何が起きやすいかも触れられ、親側の焦りが強い日でも読み進めやすい温度感。
自信が揺れる時期に。
タイプの違いと関わり方を整理し、毎日の声かけを迷いにくくします。
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まとめ|自信は“増やす”より、戻れる場所があると育つ
自信は、何かができた回数だけで育つものではありません。
揺れたときに戻れる場所があると、少しずつ積み上がっていきます。
絵本ができるのは、励ましたり変えたりすることではなく、安心を先に増やすこと。
その感覚が残ると、小さな一歩が自然に出やすくなるかもしれませんね。
うまくいかない日があっても大丈夫。
土台を整え、戻り道を残しておけば、また動ける日が来ます。
今の気持ちに合う一冊を、そっと手に取ってみてください。
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