子どもの「うそ」に気づいたとき、いちばんつらいのは、叱ったあとに胸の奥がざわつく感じかもしれません。
今回は、「嘘をつく子ども」を“悪さ”として片づけず、背景にある気持ちをほどくための絵本を集めました。
叱り方やしつけの正解探しではなく、「何を守ろうとしたのか」「何が怖かったのか」を、いったん分けて見られる順番にしています。
児童書専門の司書として、親子が「ほんとはね」に戻れる道が残るものを選びました。
はじめに|おすすめ3冊(早見)
今の気持ちに近いところから選べるように、まずは3冊だけ先に並べました。
気になる本があれば、「この本の紹介へ→」から該当パートへ飛べます。
子どもが嘘をつくとき|叱る前に「気持ちの種類」を分けて考える
子どもの「うそ」に出会うと、頭では分かっていても、心が先に反応してしまう場面があるもの。
それでも一度だけ、事実の前に「気持ち」を見にいく余白が残ると、親子の空気が少し変わります。
絵本(児童書)を見ていると、嘘は“悪さ”というより、ことばが追いつかない瞬間に出やすい表現として描かれているようです。
ほんとはこうしたかった、怒られたくない、かっこつけたい、友だちの前で引っ込みがつかない……背景は一枚ではないはず。
この記事では、嘘をやめさせる話を中心にしません。
「何を守ろうとしたのか」「何が怖かったのか」を、気持ちの種類としていったん分けてみます。
気持ちが見えると、次に取れる行動が“叱る/許す”の二択から外れていきます。
言い直しに戻る、関係を戻す、落ち着いてから話す。そんな小さな戻り道が残ります。
読んだあとに「ほんとはね」が出てこなくてもかまいません。
戻れる道があると知っているだけで、親の声も、子どもの表情も少しやわらぎます。
「ほんとはこうしたかった」に寄り添う絵本
嘘の奥に「願い」や「理想」が隠れているとき、叱るほど本音が遠のくことがあります。
この章は、「ほんとはね」に戻れる余地をそっと残す絵本を集めました。
『あたし、うそついちゃった』|言い直しに戻れる「ほんとはね」の入口が見えてくる
『あたし、うそついちゃった』は、拾った小さなカメラを「自分のもの」と言ってしまったルースが、胸のざわつきを抱えたまま一日を過ごすお話。
嘘がふくらむ怖さより、“本当を言いたい気持ち”が少しずつ前に出てくる流れが丁寧です。
問い詰めの代わりに、「言い直しに戻れる入口」を渡せます。
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うそをついた事実より先に、「ほんとはね」と言い直したくなる気持ちが育つ物語。
責められる怖さを強めず、戻り道をそっと残します。
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『うそ(中川ひろたかの はじめてのテツガク絵本)』|いろんな“うそ”を並べて、気持ちを落ち着いて分けられる
『うそ(中川ひろたかの はじめてのテツガク絵本)』は、「うそをつくって、ほんとうに全部いけないこと?」という問いを入口に、子どもの中にある揺れをそのまま置いて進む絵本です。
良し悪しを決めに行かず、どうして言ってしまうのかを考える余白が残ります。
責める空気を強めずに、言い直しや本音の言葉へ戻りやすくなる一冊です。
「うそはだめ」だけで終わらせず、つい言ってしまう気持ちまで見つめ直せて、「ほんとは…」に戻る道が残ります。
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「困った気持ちを隠したい」に寄り添う絵本
怒られたくない、失敗を知られたくない。そんな怖さが先に立つと、嘘は「隠す」形で出やすくなります。
この章では、隠したくなる気持ちを受け止めつつ、言い直しへ戻れる道を残す絵本を紹介します。
📘 「失敗しても終わらない」感覚は、失敗から立ち直る力を育てる絵本で特集しています。
『うそついちゃったねずみくん』|「怒られたくない」が先に立つとき、気持ちの奥が見えてくる
『うそついちゃったねずみくん』は、きつねくんの“うそ”にだまされ、ねずみくんが心配で走り出してしまうお話。
うそを「悪いこと」と説くより先に、信じた側の焦りや胸のざわつきが立ち上がります。
最後に事実が分かったときの気持ちの落差まで描かれるため、「うそをつく/つかれる」で揺れたあとに、落ち着いて気持ちを言葉にしやすくなります。
親子で「本当はどうだった?」と確かめ直す入口にもなりそうです。
「うそ」を言われた側のドキッとする心配と、あとから分かる拍子抜け。
信じた気持ちの行き場を、やさしく整えられる絵本です。
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『しっぱいしたって いいんだよ』|失敗しても終わらない感覚が残り、「隠す」以外の道が増える
『しっぱいしたって いいんだよ』は、いとこの失敗を許せず怒ってしまうガストンが、自分も同じ失敗を経験することで相手の気持ちに気づいていく物語。
パパとの会話を通して「失敗しても大丈夫」「あやまる」「ゆるす」を、説教ではなく出来事の流れで受け取れます。
失敗がこわくて隠したくなる場面の前に、“関係は終わらない”感覚を手渡したいときに合います。
失敗がこわい日に。
「やり直せる」が先に入ると、隠すより「困った」を言える道が残りやすくなります。
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「かっこつけたい/背伸び」に寄り添う絵本
友だちの前で強く見せたくなったり、場の流れでつい盛ってしまったり。
背伸びの嘘には、「負けたくない」「置いていかれたくない」気持ちが混ざることがあります。
ここでは、笑いで熱を下げつつ、等身大へ戻りやすくなる絵本を集めました。
『はなげ小学生』|背伸びの嘘を笑いに変えて、等身大へ戻るきっかけが作れる
『はなげ小学生』は、うそをつくたび鼻毛が伸びてしまう小学生・たけしの一日を描く絵本。
軽い見栄やごまかしが「取り返しのつかない大ごと」にふくらむ過程が、ユーモアで追えます。
責めるより先に笑えるので、「ほんとはね」と言い直す空気が作りやすい一冊。
かっこよく見せたい熱が上がっているときに、ちょうどよい距離を渡せます。
背伸びの小さなうそが、鼻毛になって“見える化”。
笑いながら、言い直しの入口へ戻りやすくなります。
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『きょうはだめでもあしたはきっと』|背伸びして言ってしまった一言を、恥にせずほどいていける
『きょうはだめでもあしたはきっと』は、さばくにやってきた“ふうがわりなとり”を、まわりの動物たちがじろじろ見て言葉を投げるところから始まります。
見た目や「ふつう」に合わせたくなる空気のなかでも、無理に取り繕わなくていい感覚がじわっと広がる物語。
嘘が「背伸び」や「恥ずかしさ」から出やすい子には、先に安心を渡せます。
背伸びしてよく見せようとしたくなる日に。
「ありのまま」を笑われても、心が折れにくい着地が残ります。
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『ちがっていたって いいんだよ(ガストンのソーシャルスキルえほん)』|比べる気持ちが落ち着き、盛らずに話す方向へ運びやすくなる
『ちがって いたって いいんだよ』は、ユニコーンの子ガストンが「みんなとちがう」ことでからかわれた場面から始まり、ちがいの見方をゆっくり変えていく物語です。
正しさで諭すより、「ちがう=面白い」に視点を移す流れがやわらかい。
比べる熱が下がると、盛って言わなくても大丈夫な足場が戻りやすくなります。
比べて苦しくなる日に。
ちがいを「ダメ」にせず受け止め直せて、背伸びの言葉がほどけやすくなります。
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「友だちの前のうそ」に寄り添う絵本
友だちの前だと、引っ込みがつかなくなったり、言いにくいことを飲み込んだりして、嘘が「場の顔」を守る形で出ることがあります。
この章では、関係を壊さずに言い直せる道を残す絵本を紹介します。
📘 友だちの前で言いにくくなる場面は、友だち関係のモヤモヤに寄り添う絵本にもつながります。
『ほらふきのちゃんはうそつき』|盛ってしまう気持ちがほどけて、「言い直せる空気」が残る
『ほらふきのちゃんはうそつき』は、ほらばなしが得意な“ふきのちゃん”をめぐる短編連作です。
ちょっと長めの話から短い小話まで全17編で、リズムのよい文章とユーモアが続きます。
嘘を「悪い行動」に固定せず、“場を盛り上げたい”“よく見られたい”気持ちも混ざることを、笑いながら眺められる構造。
読後に「ほんとはどうだった?」を軽く聞ける空気が残りやすい一冊です。
友だちの前で、つい話を大きくしてしまう。
そんな“盛りたくなる瞬間”を笑いにして、等身大へ戻る道を残す17編。
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『コレットのにげたインコ』|言いにくさをほどき、関係を壊さずに“言い直せる道”を残す
『コレットのにげたインコ』は、新しい街に来たコレットが、近所の子に話しかけられた拍子に「ペットがいなくなった」と言ってしまい、みんなを巻き込んで“探す流れ”が始まるお話です。
嘘を責めるより先に、言い出せなさ・引くに引けない感じが丁寧に描かれます。
関係を壊さずに言い直すには、どうやって空気を整えるか。
その入口を物語で見せてくれる一冊。
引っ越し先で思わずついた“小さなうそ”が、友だちとの距離を動かしていく物語。
言い直しへ戻れる空気が、静かに残ります。
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まとめ|「ほんとはね」を急がず、戻れる場所を用意する

嘘に気づいたとき、すぐに真実だけを引き出そうとすると、親も子も身構えやすくなります。
読み終えたあとは、嘘を問い詰める代わりに、落ち着く時間を一度挟むのもひとつです。
話せるときに話せる形で、言い直しへ戻れるように、親の側が道だけ残しておく。
嘘が減るかどうかより、親子の会話が切れずに続くこと。
そのための“足場”として、今日いちばん合う1冊から手に取ってみてください。
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