小学校入学を前に、「友だち、ちゃんとできるかな」と心配になることがあります。
子ども以上に、親のほうが先に不安を感じてしまう場面も少なくありません。
この不安に、正解や対処法を渡すのではなく、気持ちをそのまま包んでくれるのが絵本です。
児童書専門の司書として選んだのは、友だち関係を教える本ではなく、「味方がいる」「大切に思われている」という土台が静かに残る物語。
入学前後の揺れやすい時期に親の気持ちごと手渡せる絵本を、場面ごとに紹介します。
はじめに|おすすめ3冊(早見)
先に3冊だけ並べておくと、いまの気持ちに近い1冊を選びやすくなります。
気になる本があれば、本文の紹介パートでくわしく読めます。
入学前の「友だちの不安」はふつう|親の心配は自然なこと
小学校入学を前に、友だちのことが気になるのは自然なことです。
新しい教室、新しい関係の中に入っていく子どもを思うと、親のほうが先に心配してしまうこともあります。
私もそうでした。
この記事では、不安を小さくしたり、前向きに言い換えたりしません。
「心配してしまう気持ちがある」という事実を、そのまま置いておくところから始めます。
このあと紹介する絵本は、友だちづくりを教えるものではありません。
安心できる足場があることで、子どもが学校という世界に向かいやすくなる、そんな流れを静かに支える物語です。
教室のはじまりが見える絵本|初対面の空気を先に知る
入学前に不安がふくらみやすいのは、「何が起きるのか分からない」時間です。
この章では、教室の空気や初日の流れを物語の中で先にのぞける絵本を集めました。
📘 小学校の一日の流れを先に知っておくと、初めての関係づくりで緊張しやすい時期の見通しが立ちます。入学前の子におすすめの絵本も参考になります。
『カラーモンスター学校に行く』|気持ちが見えると、場に入りやすくなる
『カラーモンスター がっこうへいく』は、初めて学校へ行く日のカラーモンスターが、何だか落ち着かない気持ちを抱えて出かけます。
不安やどきどきが色で描かれ、気持ちが「いま何色か」をたどれる作り。
教室で出会う人や時間の気配が少しずつ見えてきて、初日の想像がつきやすくなります。
緊張は特別なものではないと伝わり、場に入る前の肩に入った力がゆるみやすい。
入学前後の揺れやすい時期に、言葉で説明しきれない気持ちの置き場として残ります。
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初登校やクラス替えの前に。
気持ちが色で見えて、教室のイメージが先に立ち上がります。
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『小学生になったらえほん』|一日の流れが、気持ちの支えになる
『小学生になったらえほん』は、登校から下校までの学校の場面が、写真を中心に追いやすく並びます。
細かな説明を読み込むというより、「こういう場所で、こういう時間がある」と見通しが立つ構成。
入学前の不安は、正体が分からないほど大きくなりやすいもの。
この本は、学校の様子に加えて、練習しておきたいことや防犯・マナーも一冊にまとまっています。
家の会話が「何が心配?」へ向きやすくなり、最初の一歩を具体に想像する助けになりそうです。
入学前の「何が起きる?」が気になる時期に。
写真で学校の空気を先に見て、準備と安心を同時に整えられます。
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『だいじょうぶかな いちねんせい』|「これで合ってる?」を受け止める
『だいじょうぶかな いちねんせい』は、くまの子とさるの子が「小学校へ行きたい」と願い、家族と一緒に山奥のたぬきの“だいごろうじいさん”へ相談に向かいます。
人間の姿に変えてもらい、入学式へ向かうまでの出来事が、見通しよく並ぶ構成。
初めての場で「これで合ってる?」と確かめたくなる気持ちが、物語の中で自然に出てきます。
正解を急がせるのではなく、ひとつずつ進む感じが残る読み味。
入学前後の落ち着かない時期に、安心の戻り場所として置きやすい一冊です。
入学前の“手順の不安”に。相談→準備→入学式の流れが見え、初日を具体に想像しやすくなります。
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ことばが出なくても大丈夫な絵本|同じ場にいられるだけで関係が始まる
入学してすぐの時期は、話しかけたい気持ちがあっても言葉が出ないことがあります。
ここからは、無理に話さなくても、同じ場所にいられること自体が関係の入口になる絵本を紹介します。
📘 「どう関わったらいいか」で迷う場面は、友だち関係のモヤモヤに寄り添う絵本にもつながります。
『ともだち』|言葉がなくても、時間がつながっていく
『ともだち』は、となりの家に男の子が引っ越してきて、女の子は何度もあいさつをします。
けれど返事がなく、気づいてもらえたと思ったら“変なしぐさ”に見えてしまう。
そのしぐさが、聞こえない男の子の「こんにちは」の手話だったと分かった瞬間、場の空気が変わります。
会話の上手さより、同じ場所にいて、伝えようとする試みが重なること。
手話のイラストも添えられ、言葉以外の入口が静かに増えていきます。
初対面で固まりやすい子に、「関係の始まり方」はひとつではないと残る一冊。
誤解がほどける瞬間が描かれ、言葉以外のつながり方が見えてきます。
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『いまの きもちは どんないろ?』|気持ちを、そのまま置いておける
『いまの きもちは どんないろ?』、言葉にならない気持ちを、色やかたちで受けとめる絵本です。
ページをめくりながら「いまの気分に近い色」を選べるので、話す前に自分の状態を確かめやすい。
うまく説明できなくても大丈夫、という空気が続きます。
必要なら、色だけではなく音で表す発想も置かれていて、伝え方の入口が増えていきます。
教室で抱えたもやもやを家に持ち帰り、落ち着いて開ける一冊。
言葉が詰まる日に、気持ちを色で示せる絵本。
会話の前に「いま」を整える時間が生まれます。
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『ことばえらびえほん ふわふわとちくちく』|距離感を、やさしく整える
『ことばえらびえほん ふわふわとちくちく』は、相手の心が元気になりやすい「ふわふわことば」と、心が痛くなりやすい「ちくちくことば」を見比べていきます。
たとえば「よかったね」「だいじょうぶ」と「うるさい」「あっちにいって」の違いが、子どもにも分かる形で置かれています。
言葉の強さを正解で裁くより、「どっちを選ぶ?」と立ち止まれる作り。
言い方に迷う場面でも、言い直しの余地が残ります。
輪の中の居心地を、自分なりに調整する発想が育ちやすい一冊です。
きつい言い方が出たあとに。
ふわふわ/ちくちくを見比べて、次のひと言を選び直せる絵本。
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比べたくなる心に寄り添う絵本|「そのままの自分」でいられる物語
学校という場に入ると、まわりの様子が自然と目に入ってきます。
できている子と比べてしまう気持ちも、成長の途中ではよく起こることです。
『ちがって いたって いいんだよ』|比べる前に、足場を戻してくれる
『ちがって いたって いいんだよ』は、ユニコーンの子どもガストンが、「みんなとちがう」ことを笑われた場面から始まります。
相手を言い負かす話ではなく、どう折り合いをつけていくかをたどる物語。
比べる視線が強くなるとき、心が先に固まりやすいですね。
この本は、ちがいを“困ったもの”として片づけず、面白さとして置き直していきます。
読み終わりに残るのは、「そのままの自分」で場に戻る感覚。
張り合いの空気がつらい時期に、静かに支えになる一冊です。
比べたくなる気持ちが強い日に。
ちがいを認め合う道筋が残り、関係の始まりを立て直しやすくなります。
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『だれだって』|「みんな同じ」を先に知る
『だれだって』は、「だれだって」を合図に、楽しい時も悲しい時もあることがテンポよく並びます。
うまくいかない日を特別扱いせず、淡々と置いていく語り口。
気持ちが沈むのに理由が見つからない日もある、その前提が先に入ります。
比べる視線が強くなりそうなとき、共通点がクッションになりやすい。
比較で固くなりやすい心に、安心の余白を渡してくれる一冊です。
落ち込む日が続くときに。
「だれだって…」が共通点を先に入れて、比べる気持ちをいったん休ませます。
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「だいすきだよ」が伝わる絵本|親の安心が、子どもの土台になる

友だちの不安に向き合う前に、戻ってこられる場所があることが支えになります。
この章では、できているかどうかに関係なく「あなたは大切に思われている」という感覚が残る絵本を置きます。
『あなたの すてきな ところはね』|安心の根拠が、言葉で残る
『あなたの すてきな ところはね』は、子どもの「すてきなところ」を、ひとつずつ言葉で確かめていく絵本です。
できた・できないの評価ではなく、そこにいてくれることへ視線が向きます。
読む人のまなざしが、そのままメッセージとして残る構成。
入学前後の忙しさの中で、親子の土台を静かに整える一冊。
「だいすき」が言葉で残る一冊。
落ち込む日にも読み返せて、安心の根っこをもう一度つくれます。
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『あなたのことが だいすき』|戻れる場所が、はっきり見える
『あなたのことが だいすき』は、思うようにいかない日が重なり、親の心が揺れる場面から始まります。
それでも「あなたのことが だいすき」と繰り返し手渡し、変わらない気持ちを確かめていく構成。
できた・できないの評価より、同じ場所に戻れる感覚が先に残ります。
外でがんばった日の夜に開くと、「ひとりじゃない」が静かに積み上がっていきます。
うまくいかない日でも、変わらない「だいすき」が残る絵本。
親子の戻り場所を、言葉で確かめられます。
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まとめ|春の不安は“消す”より“支える”——親の気持ちは渡せる
小学校入学を前にした友だちの不安は、なくすものではありません。
揺れながら進む時間の中で、戻ってこられる足場があることが、子どもを支えます。
絵本は、気持ちを言い換えたり、前向きにさせたりするための道具ではなく、「あなたには味方がいる」「大切に思われている」という感覚を、静かに残してくれます。
うまくいかない日があっても、支えになる言葉や場面を思い出せること。
その積み重ねが、学校という世界に向かう力になります。
この春、親の気持ちをそのまま絵本にのせて、そっと手渡してみてください。
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