失敗が怖くて、やる前から「できない」と言ったり、少しつまずいただけで手が止まったり。
子どものそんな様子を見ると、励ましたほうがいいのか、そっとしておくほうがいいのか迷うことがあります。
今回は、失敗そのものよりも、その前の段階で止まって始められない子に合う絵本を集めました。
児童書専門の司書としての選書と、母としての実感を重ねながら、いまの止まり方に近い一冊を見つけやすい形で紹介します。
はじめに|失敗が怖くて動けない子に合う絵本(早見)
失敗が怖い気持ちにも、止まり方には少しずつ違いがあります。
ここでは、いまの様子に近いところから選びやすいよう、入口になる3冊を先に並べました。
やる前から「できない」と言う子に
失敗が怖い気持ちは、うまくいかなかった後よりも、始める前に強く出ることがあります。
まだ何も起きていないのに「無理」「できない」が先に立つときは、励ましよりも最初の一歩がどんなふうに始まるかを見せてくれる絵本のほうが合いやすそうです。
『てん』|完璧でなくても、小さく始めてよいと伝えてくれる
『てん』は、お絵描きなんて大きらいと思っている女の子が、紙に残した小さな一点をきっかけに動き出していく絵本です。
最初からうまくやることよりも、ほんの少し手を動かしてみるところから物語が開いていきます。
「できない」と言う気持ちを強く否定せず、これなら始められるかもしれないと思える小ささが見えてきます。
やる前から止まりやすい子に、最初の一歩をそっと小さく見せてくれる一冊です。
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白い紙の前で固まったとき、小さな一点が「ここから描いてみよう」の合図に。
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『ひとつから はじめよう』|大きな変化も、最初のひとつから
『ひとつから はじめよう』は、ひとりの小さな行動が、水に落ちた小石の波紋のように広がっていく様子を描きます。
大きな課題を前にしても、最初の一歩は誰にでも踏み出せることを、詩的な言葉と躍動感のある絵で伝えています。
すべてを一度に変えるのではなく、自分にできる「ひとつ」へ目を向ける視点。
結果ばかりを考えて動けなくなった心に、まず手を動かすという道を示してくれる作品です。
大きな変化は、小さな行動から。
結果を思って立ち止まる心に、まず「ひとつ」という入口を。
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『まちがいなんて ないよ』|まちがえても、そこから続けていけると感じられる
『まちがいなんて ないよ』は、線のずれやインクのにじみが、描き足すたびに思いがけない形へ変わっていく作品です。
消して元へ戻すのではなく、残った跡を生かして別の景色へ。
「まちがえた」で止まらず、次の線を重ねるうちに、絵の世界はどんどん広がっていきます。
失敗の印に見えたものが、想像の始まる場所へ変わる読後感。
まちがえた線も、にじんだ色も、次の絵のはじまりに。
失敗で手が止まったとき、続きを描く気持ちを取り戻せます。
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📘 身近な失敗やピンチを、笑いながら見つめられる作品も探したいときは、鈴木のりたけさんの絵本おすすめ15選も参考になります。
つまずくと手が止まりやすい子に
順調に進んでいたのに、ひとつ引っかかっただけで、その先へ行けなくなることがあります。
失敗したからというより、思っていた形が崩れた瞬間に、気持ちまで止まってしまう。
そんな子には、「途中で止まる時間があってもいい」と思わせてくれる絵本がそばにあると助けになります。
📘 うまくいかなかったあとに戻る感覚を育てたいときは、失敗から立ち直る力を育てる絵本も参考になります。
『しっぱい なんか こわくない!』|うまくいかない途中にも、続きを探していける
『しっぱい なんか こわくない!』は、発明が大好きなのに、失敗を笑われた経験から気持ちをしまいこんでいた女の子の物語です。
大おばさんのために飛ぶ機械を作る中で、うまくいかなかった出来事がそのまま終わりにはなりません。
失敗をなかったことにせず、そこから何を見つけるかへ視線が移っていくところにこの本のよさがあります。
つまずいた瞬間に手が止まりやすい子にも、「ここで終わりではない」と受け取れる作品です。
うまくいかなかった一回も挑戦の途中。
次を試す勇気へつなげてくれる物語。
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『だいじょうぶやさんのだいじょうぶ』|止まりそうな場面で、助けを借りながら戻っていける
『だいじょうぶやさんのだいじょうぶ』は、飛ぶのが苦手なテントウムシや、うまく歌えない小鳥など、困りごとを抱えた森の仲間たちが「だいじょうぶやさん」を訪ねる物語です。
店長のムーくんは、「だいじょうぶ」と声をかけ、それぞれにほんの少し手を貸します。
できないことを責めず、誰かに頼る余地を残すやりとり。
やがて仲間たちが自分の力で動き出す姿から、助けてもらうことも前へ進む方法のひとつだと伝わってきます。
「できない」と立ち止まったとき、ひとりで頑張りきらなくても大丈夫。
ほんの少し助けを借りると、次の一歩が見えてきます。
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『ものがたりが うまれるとき』|思い通りに進まない時間も、途中として受け取れる
『ものがたりが うまれるとき』は、物語を書こうとしても言葉が出てこなかったり、鉛筆が折れたり、ボツの紙が増えたりする姿を描きます。
思うようにいかず、投げ出したくなる時間も、そのまま物語の中へ。
それでも、もう一度鉛筆を持つと、止まっていた続きが少しずつ動き始めます。
進まない時間にも、まだ見えていない何かが隠れているのかもしれません。
うまくできない自分を、すぐに「だめ」と決めなくていい。そんな気持ちが静かに残ります。
言葉が出なくても、ボツの紙が増えても、物語はまだ途中。
もう一度鉛筆を持つ姿が、「ここから続けていい」と伝えてくれます。
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📘 運動会の前後の緊張や勝ち負けの気持ちを絵本で受け止めたいときは、運動会の絵本おすすめも参考になります。
新しいことの前で固まりやすい子に
初めてのことを前にすると、やってみたい気持ちがあっても、体が先に止まってしまうことがあるもの。
知らない場面に入るだけで緊張が強くなり、「どうしよう」が大きくなる子には、始める前の気持ちにそっと寄り添う絵本がなじみます。
📘 最初の一歩を軽くしたいときは、一歩を踏み出す子どもへ贈る絵本にもつながります。
『とりあえず やってみようよ』|初挑戦の前で止まりそうな気持ちに、小さな入口をつくる
『とりあえず やってみようよ』は、新しいことへの挑戦が苦手な鳥のボブが、「とりあえずやってみる」を選ぶ物語です。
うまくできるか考え込む前に、まずは一回。
動いてみるうちに、ボブの気持ちも、目の前の景色も少しずつ変わっていきます。
その先に待っているのは、成功か失敗かではなく、やってみたからこそ出会える発見です。
初めてのことが大きく見えたとき、先の結果より、目の前の一歩を考えたくなります。
初めてのことを前に迷ったら、まずは一回。
動いてみた先で、思いがけない楽しさや発見に出会えます。
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『ムテキなコトバ』|新しい朝に固まりそうなとき、自分を支える言葉が見つかる
『ムテキなコトバ』は、「いちばん上のおにいさん」になる朝、昨日まで楽しみだったはずなのに、急にこわくなった男の子の心を描きます。
できることが増えた自分と、まだ不安な自分。
その間で揺れる姿から、新しい役割を前にした子どもの小さな緊張が伝わってきます。
背中を強く押すのではなく、そっと力をくれる「ムテキなコトバ」。
縮こまっていた気持ちが、自分の力で少しずつ前を向いていく結末にも温かさがあります。
新しい朝が急にこわくなったとき、胸の中に「ムテキなコトバ」をひとつ。
自分の力で顔を上げる勇気を受け取れます。
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『かいじゅうたちは こうやってピンチをのりきった』|緊張して固まる場面にも、付き合い方があると伝わる
『かいじゅうたちは こうやってピンチをのりきった』は、注射、くらやみ、仲間はずれ、みんなの前で話すことなど、こわい気持ちに出会う場面を親しみやすく描いた絵本です。
こわさや緊張をなくすのではなく、そうした気持ちとどう付き合っていくかを、かいじゅうたちと一緒に考えていくつくり。
場面ごとに「こんな方法もある」と示され、自分に合う乗り切り方が見えてきます。
最後に残るのは、こわがる自分を責めなくていいという、ほっとする感覚です。
注射も、くらやみも、人前で話すことも。
ドキドキを追い払わず、自分なりの乗り切り方を探すヒントが詰まっています。
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失敗が怖い気持ちに親ができること
子どもが止まっていると、励ましたほうがいいのか、見守ったほうがいいのか迷うことがあります。
ただ、失敗の怖さが強いときは、気持ちを押し上げる言葉より、受け止め方や環境の整え方が助けになる場面も少なくありません。
ここでは、子どもの「やれない」を根性論で片づけず、親の関わり方を落ち着いて考えたいときに手に取りやすい本を選びました。
『「頑張れない」子をどう導くか』|「やらない」の見え方を変え、関わり方を整えていく
『「頑張れない」子をどう導くか』は、子どもの「やらない」「できない」を、意欲のなさだけで片づけずに考える親・支援者向けの本です。
児童精神科医と小学校教諭が、「見通し」「目的」「使命感」の三つを軸に、声のかけ方や環境の整え方を具体的に紹介しています。
励まして動かそうとする前に、その子がどこで立ち止まっているのかを見る視点。
子どもを変えることばかりに向かわず、大人が整えられるものを考えるきっかけになります。
「どうして動かないのだろう」と迷ったとき、子どもを責める前に、見通しや環境から関わりを見直す手がかりに。
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『児童精神科医が「子育てが不安なお母さん」に伝えたい 子どもが本当に思っていること』|止まっている子の内側を、急がず受け止め直す
『児童精神科医が「子育てが不安なお母さん」に伝えたい 子どもが本当に思っていること』は、精神科医のさわさんが、子どもの心の声を通して、親には見えにくい本音を伝えています。
良かれと思ってかけた言葉や先回りも、子どもには別の形で届いていることがあります。
怒る前に何を見ればよいのか、そばにいるとはどういうことか。
親子のすれ違いを、子どもの側から見つめ直す内容です。
すぐに正そうとせず、まずはその子の立場から考えてみる。
失敗を怖がって動けない姿にも、急がず向き合うための視点が見えてきます。
子どもが動かないとき、急かす前に知っておきたい心の内側。
表の行動だけでは見えない思いに目を向けます。
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※画像はイメージです。実際の商品画像ではありません。
失敗が怖い子が取り組みやすい遊び道具
完成形を思い描くほど、最初の一手が重くなることがあります。
ここでは、やり直しが自然に入りやすく、途中で止まっても別の形へつなげやすい遊び道具を選びました。
うまくいかない瞬間を、その場で組み替えられる構造が共通点です。
学研のニューブロック|つなげ方に正解がないブロック
ロック遊びの魅力は、完成形を先に決めなくても、ひとつつなぐところから始められること。
学研のニューブロックはさまざまな向きに組み合わせられ、途中で形が変わっても、その変化を遊びに取り込めます。
「何を作ろう」と考え込むより、まずは手に取ってつないでみる。
そこから思いがけない形が立ち上がります。
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ピタゴラスBASIC ひらめきのプレート|磁石でつなぎ、平面から立体へ
磁石を内蔵したプレートは、近づけるとピタッとつながります。
ピタゴラスBASIC ひらめきのプレートは、床に並べる遊びから、プレートを立ち上げて形をつくる遊びへ発展するセットです。
思った形にならなければ、向きを変えたり、組み替えたりしてもう一度。
完成図を先に決めず、手を動かしながら考える面白さがあります。
まずは並べて、次は立ち上げて。
磁石でつながるプレートが、平面から立体へ遊びを広げます。
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GESTAR(ジスター)天才のはじまり|つないで外して、形を広げるブロック
GESTAR(ジスター)天才のはじまりは、丸いパーツを縦・横・斜めにつなぎ、平面にも立体にも広げられるブロックです。
向きを変えたり、外して別の場所につけたりするたび、思いがけない形が現れます。
手の中で形が変わっていく時間そのものが、このブロックのおもしろさ。
つないだ形が、思わぬ方向へ。
組み替えるたび、新しいひらめきが顔を出します。
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まとめ|失敗が怖い気持ちに合う一冊から、少しずつ
失敗が怖い気持ちは、わがままや甘えだけでは片づけにくいものです。
やる前から「できない」が出る子もいれば、途中でつまずくと手が止まる子もいて、新しいことの前で固まりやすい子もいます。
そんなとき、絵本は「がんばろう」と押すより先に、気持ちの動き方や、最初の一歩の小ささを見せてくれます。
うまくやることより、始めてみること。
止まっても、また戻れること。
まちがえても、その先が続いていくこと。
物語の中でそれが見えるだけで、子どもの中のこわさが少しゆるむことがあります。
どの一冊が合うかは、その子の止まり方によって変わります。
いま一番近い場面に重なる本から手に取り、必要なときに何度でも開ける形にしておく。
それだけでも、次の一歩の支えになっていきます。
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