多様性×絵本のおすすめ|児童書専門の司書が選ぶ「いろんな人がいる」を家で話せる物語

春の小道で手をつないで歩く3人の子どもの後ろ姿

園や学校の出来事を話す中で、「みんなと同じ?」と聞かれたり、誰かの違いが話題に上がったりする日があります。

服の色、得意なこと、家族の形──子どもは説明を待たずに、身近なところから気づいていきます。

多様性を言葉で整理しようとすると、読み聞かせの時間が少し硬く感じることも。

まずは物語の中で出会って、「こういう子もいるんだね」と言える距離が残ると、家の会話に戻しやすそうです。

この記事では、違いを正解に結びつけず、家庭で読みやすい温度で多様性が描かれている絵本を紹介します

目次

はじめに|おすすめ3冊(早見)

先に3冊だけ並べ、いまの家の空気に近い1冊を選びやすくしました。

気になる本はリンクから本文の紹介パートへ移れます。

① 友だちの話が増えた日

いろんなともだち(MR. MEN LITTLE MISS All Different)
ちがいを「説明」ではなく、出来事の流れとして見せていく物語。
年齢目安:3歳〜 この本の紹介へ→

② 比べて気持ちが止まった日

ぼくは びっくりマーク
「同じ」からはみ出す瞬間を、軽い物語で受け止め直せる一冊。
年齢目安:3歳〜 この本の紹介へ→

③ 見た目や家族の「なんで?」が出た日

ねえねえ、なに見てる?
同じ場面でも見え方が違うことを、家の読み聞かせ温度で残せる物語。
年齢目安:3歳〜 この本の紹介へ→

多様性ってなに?|家で話しやすい入口を作る絵本

「ちがい」について、説明を始めると話が少し固くなりがちです。

まずは日常の動きや出来事から、会話に入りやすい物語を置いておくと、話題を広げやすくなります。

『もっと まざっちゃおう!』|「いっしょにする」が難しい場面から考える

『もっと まざっちゃおう!』は、色や形のちがう存在が同じ場所で過ごそうとして、うまくいかない場面が続く絵本です。

混ざろうとして思った通りにならない瞬間が重なり、「できた/できない」の評価へ急がせません。

誰かを悪者にせず、「合わない時間」もそのまま置かれるところが特徴です。

読んでいると、正解探しよりも、場面そのものに目が向きやすくなります。

家では「どうすればよかった?」より、「このとき、どんな気持ちだったかな」と話を戻しやすい。

入口の温度を下げすぎずに、多様性の話へ入れる一冊です。

※本ページにはアフィリエイト広告が含まれます。

いっしょにするのが難しい日に。
うまくいかない場面をそのまま眺め直せて、家の会話が始めやすくなります。

『もっと まざっちゃおう!』
作:アリー・チャン/訳:小栗左多里:トニー・ラズロ
出版社:フレーベル館
対象年齢:目安 4歳〜

価格・在庫はリンク先でご確認ください。

『みえるとか みえないとか』|見え方のちがいに立ち止まる

『みえるとか みえないとか』は、宇宙飛行士の「ぼく」が、目が三つある相手と出会い、見え方のちがいを具体のやり取りで確かめていく絵本です。

「できる/できない」で線を引かず、困りごとや工夫が並びます。

説明で押し切らず、場面を追うほど理解が進む作りです。

読み終わると、「足りない」という見方から少し外れやすくなります。

家でも「大変だね」に寄せず、「どう見えているんだろう」で話を止めておけます。

多様性を一度フラットに置き直す、会話の入口になりやすい一冊です。

「同じなのに違う」を話したい日に。
見え方の工夫が並ぶやり取りから、家の会話をフラットに始めやすくなります。

『みえるとか みえないとか』
作:ヨシタケシンスケ/そうだん:伊藤亜紗
出版社:アリス館
対象年齢:目安 6歳〜

価格・在庫はリンク先でご確認ください。

「そのままの自分」でいい|比べて苦しくなった日に読みたい絵本

「みんなと同じにできるほうがいい」という空気に触れると、発表の声の大きさや遊び方までいつもより小さくなってしまうかもしれません。

多様性を外の話にせず、家の中で「違いがあっても大丈夫」と置き直せる物語があると、比べた気持ちを引きずりにくくなりそうです。

📘 「比べる」気持ちが強い日は、土台の整え方を 自己肯定感を育てる絵本 にもまとめています。

『ぼくは びっくりマーク』|気持ちが先に出てしまった場面から

『ぼくは びっくりマーク』は、まる(。)の中で自分だけ違うことが気になっている「!」が主人公の絵本です。

次々に問いかけてくる「?」とのやり取りの中で、思わず大きな声が出る瞬間が転換点になります。

「直す」「落ち着く」を急がせず、気持ちが先に出てしまう出来事をそのまま進める作り。

読んでいると、周囲と比べて苦しくなる線から一歩外れやすくなります。

家でも、評価や反省へ寄せずに「このとき、どんな感じだった?」と話を戻しやすい。

そのままの自分をいったん置いておける、軽い余白が残ります。

比べて苦しくなった日に。
言葉にならない気持ちが先に出た場面を眺め直せて、「自分のままでもいい」が静かに残ります。

『ぼくは びっくりマーク』
作:エイミー・クラウス・ローゼンタール/絵:トム・リヒテンヘルド/訳:大友剛
出版社:ひさかたチャイルド
対象年齢:目安 3歳〜

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『青い花の えかきさん』|「同じにできない」気持ちと向き合う

『青い花の えかきさん』は、学校がきらいで、まちがえるのがこわい子が主人公の絵本です。

友だちの輪や勉強の場面で「みんなと同じようにできない」気持ちが重なり、心が縮む時間が続きます。

うまくできない理由を説明で片づけず、過ごす一日の感触として描くところが静かです。

転換点は、周囲に合わせる話へ寄せず、「ちがっていていい」を受け取っていく場面。

読み終わると、「できない=だめ」から少し距離が生まれ、比べる熱が引きやすくなります。

家では評価を急がず、「どんな時間だった?」と振り返りやすい物語です。

比べて苦しくなった日に。
うまくできない時間を責めずに眺め直せて、「自分の速さに戻る」が残りやすくなります。

『青い花の えかきさん』
文:ソーニャ・ハートネット/絵:ガブリエル・エヴァンス/訳:みらい なな
出版社:童話屋
対象年齢:目安 5歳〜

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『ぼくを グレーって よんで』|言いにくい気持ちのあとも、居場所が残る

『ぼくを グレーって よんで』は、毎年冬にパパとスケートリンクを作る「ぼく」が、今年は自分の中の違和感を言葉にしようとする物語です。

相手を説得する話へ寄せず、言い切れない時間も含めて会話が進みます。

転換点は、気持ちを話した瞬間に“解決”へ飛ばず、受け止める側の姿勢が場面として積み重なるところ。

読後に残るのは、結論よりも「話しても関係は崩れない」という手触りです。

「自分はこのままでいい」を、静かに置ける一冊。

比べて苦しくなった日に。言いにくい気持ちを言葉にしたあとも、「自分のまま話していい」が残りやすくなります。

『ぼくを グレーって よんで』
文:アンドリュー・ラーセン/ベルズ・ラーセン
絵:タルーラ・フォンテーヌ /訳:石井睦美
出版社:光村教育図書
対象年齢:目安 小学校低学年〜(補助:小3)

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友だちとちがっても大丈夫|「人それぞれ」をそのまま受け取る絵本

同じ遊びや活動をしていても、関わり方や楽しみ方が人によって違うことがあります。

ここでは、そのちがいを「合わせたほうがいい/直したほうがいい」と判断する前に、人にはそれぞれの出方があると受け取り直せる絵本を紹介します。

📘 友だち関係で「違い」が気になりやすい場面は、友だち関係のモヤモヤに寄り添う絵本にもつながります。

『いろんなともだち(MR. MEN LITTLE MISS All Different)』|「いろんな人がいる」が当たり前になる物語

『いろんなともだち(MR. MEN LITTLE MISS All Different)』は、性格も見た目もふるまいも違う登場人物が次々に登場し、それぞれの存在感が同じ重さで描かれる絵本です。

誰かを基準にして「直す」方向へ寄せず、違いがあるまま場面が進みます。

説明を重ねるより、短い場面の積み重ねで「いろいろ」を受け取れる作り。

読み終わったあとに、「変」「おかしい」と言い切る前の一呼吸が生まれやすくなります。

「どうして違うの?」より、「どんなところが違ってた?」と観察の言葉で話しやすい。

多様性を“教える話”にせず、日常の土台として置いておける一冊です。

友だちとちがって戸惑った日に。
いろんな性格の登場人物を並べて眺めながら、「こういう人もいる」が自然に残ります。

『MR.MEN LITTLE MISS いろんな ともだち All Different』
編:講談社/著:株式会社サンリオ:ロジャー・ハーグリーブス
出版社:講談社
対象年齢:目安 4歳〜

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『おなじところ ちがうところ』|違いを「良しあし」にしない並べ方の物語

『おなじところ ちがうところ』は、身近な二人組の「同じ」と「ちがう」を、次々に具体例で見せていく絵本です。

違いを目立たせて結論へ運ぶより、両方が同時にある状態を淡々と並べます。

肌の色や担当のちがいなど、場面が変わりながら視点が入れ替わる作りです。

読み終わると、ひとつの特徴だけで人を決めつける前に、いったん立ち止まりやすくなります。

「どうして違うの?」より、「どこが同じで、どこが違う?」と問いを置きやすい。

多様性を価値判断の話から切り離し、落ち着いて眺める感覚が残る一冊です。

「どっちが正しい?」になりそうな日に。
同じ点と違う点を並べて見られて、家の会話を落ち着いて続けやすくなります。

『おなじところ ちがうところ』
作:新井洋行/絵:嶽まいこ
出版社:くもん出版
対象年齢:目安 年長〜

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家族の形も、見え方もいろいろ|ちがいを並べて見られる絵本

ソファで絵本を開き、指さしながら話す親子の後ろ姿

家族のあり方や見た目、体のことは、比べるつもりがなくても、物語の中で自然に目に入ってきます。

ここでは、違いを説明や評価に結びつけず、「こういう形もある」と並べて見られる多様性の絵本を紹介します。

『ねえねえ、なに見てる?』|同じ場面でも、見え方がちがう

『ねえねえ、なに見てる?』は、食卓を囲む家族が同じ場にいながら、それぞれ違うものを見ていることが積み重なっていく絵本です。

「正しい見方」を決めず、感じ方の差がそのまま物語になります。

説明で納得させるより、場面を追うほど「同じでも違う」が見えてくる作りです。

「それは違うよ」と直す前に、「どう見えた?」と聞きやすくなります。

多様性を身近な感覚として渡せる物語です。

家族で同じ出来事を見てぶつかった日に。
「どう見えた?」の問いが置けて、決めつけがゆるみやすくなります。

『ねえねえ、なに見てる?』
作:ビクター・ベルモント/訳:金原瑞人
出版社:河出書房新社
対象年齢:目安 年長〜

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『ピンクはおとこのこのいろ』|「好き」を先に置く物語

『ピンクはおとこのこのいろ』は、色はだれのものでもある、と子どもの日常に近い場面で示していく絵本です。

「男の子だから」「女の子だから」と線を引く前に、好きの感覚がページごとに並びます。

気持ちを正す話へ寄せず、決めつけが入り込む瞬間をそっと見せる作り。

読み終わると、言い切る前に「本当にそうかな」と立ち止まる余地が残ります。

多様性を“特別な話”にせず、ふだんの会話に戻せる一冊です。

色や持ち物で「それは違う」と言われた日に。
好きの気持ちを先に置けて、家で話を戻しやすくなります。

『ピンクはおとこのこのいろ』
文:ロブ・パールマン/絵:イダ・カバン/訳:ロバート・キャンベル
訳:KADOKAWA
対象年齢:目安 4歳〜

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『せかいでさいしょにズボンをはいた女の子』|「当たり前」が動く物語

『せかいでさいしょにズボンをはいた女の子』は、女の子がズボンをはくことが“当たり前ではなかった”時代に、一人の選択が周囲を揺らしていく絵本です。

すごい人の伝記として持ち上げるより、驚きや反発を含む周りの反応が先に描かれます。

「決まり」に見えるものが、時代や場所で動くことを場面で受け取りやすい作り。

読み終わると、「昔からそうだから」で結論にしにくくなります。

家でも正しさの講義へ寄せず、「どうして驚かれたんだろう」と問いを置きやすい。

“見え方とルール”をいったん並べて見られる余白がある作品です。

「昔からそうだから」で話が止まりそうな日に。
周りの空気が変わる過程を追えて、「本当にそう?」が残りやすくなります。

『せかいでさいしょにズボンをはいた女の子』
作:キース・ネグレー/訳:石井睦美
出版社:光村教育図書
対象年齢:目安 年長〜

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発達や障害にふれる本|説明より、物語で受け取れる絵本

人の感じ方や伝え方には幅があり、その違いは説明しきれない場面もあります。

ここでは、分かる・分からせるに寄せず、出来事として出会える物語を紹介します。

『おどっているよ、わたしのて 目で見ることばでおはなししたら』|通じる形はひとつではない

『おどっているよ、わたしのて 目で見ることばでおはなししたら』は、新しく越してきた隣人の「手の動き」に興味を持った子が、同年代の子と出会い、うまく伝わらない時間を経て手話に触れていく物語です。

伝え方を教える解説へ寄せず、出会いの流れとして進む構成になっています。

通じ合いが成立する瞬間が、場面の積み重ねで見えてきます。

読み終えると、「分かる方法」「伝える手段」はひとつではない、と受け取りやすくなります。

言葉が出にくい日にも。
手や表情で伝わる場面を追えて、「どうやって通じた?」が家で話しやすくなります。

『おどっているよ、わたしのて 目で見ることばでおはなししたら』
文:ジョアンナ・ケ:チャリーナ・マルケス/絵:フラン・アルヴァレス/訳:ミレナ・イノセンシオ-ドミンゴ
出版社:偕成社
対象年齢:目安 5歳〜

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『きこえなくたって みみの きこえない プロやきゅう せんしゅの おはなし』|できない理由を語らない

『きこえなくたって みみの きこえない プロやきゅう せんしゅの おはなし』は、耳がきこえない裕也が野球を続け、夢をあきらめずに進んでいく物語です。

困難を説明で囲うより、練習や出会いの場面が積み重なり、行動と出来事で進みます。

結果を大きく持ち上げるより、続いていく時間に目が向きやすい構成です。

読み終えると、違いが特別な条件として扱われにくく、目線が「いま何をしているか」へ戻りやすくなります。

多様性を能力差の話にせず、在り方の違いとして置ける絵本です。

落ち込んだ日に。
できなかった話へ寄せず、「続けていたこと」を思い出しやすくなる一冊です。

『きこえなくたって みみの きこえない プロやきゅう せんしゅの おはなし』
文:おがわ ひろき/絵:いしい つとむ
出版社:イマジネイション・プラス
対象年齢:目安 小学校低学年〜

価格・在庫はリンク先でご確認ください。

まとめ|多様性が描かれている絵本

今回紹介した絵本には、ちがいを説明で補わず、登場人物のふるまいや出来事として描いているものが並びました。

見え方、好きなもの、家族の形、伝え方。どれも「こうあるべき」に寄らず、複数の形が同時に置かれています。

ページを追うだけで、会ったことのない誰かの感じ方や暮らし方を想像できる場面に出会う。

その「想像してみた」経験が、現実で似た場面に出会ったときの言葉選びに、役立つ日があるかもしれません。

読み終えたあとに、答えをまとめなくても大丈夫。

どこかの場面がひとつ、記憶に残っていれば、言葉の選び方に少し間が生まれます。

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この記事を書いた人

児童書専門の司書、子どもは2人です。子どもと本をつなぐ小さな図書室のような情報サイト『Room E726.6』を運営しています。

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