園の避難訓練や防災の日、地震や大雨のニュースをきっかけに、「幼児にはどこまで、どう伝えればよいのだろう」と迷っていませんか。
怖がらせたくはないけれど、いざというときのことは少しずつ一緒に考えておきたい。
そんなとき、防災絵本は、絵や物語を通して親子で「こんなとき、どうする?」と話す時間をつくってくれます。
図書館でも、防災は9月だけでなく通年手に取られるテーマです。
今回は、児童書専門の司書としての目線で、2・3歳から年長、小学校低学年頃までを目安に13冊を選びました。
はじめて防災にふれる子へ向けた絵本、地震のときに体を動かしながら考える本、避難や家庭の備えを親子で見直せる本。火事・台風・大雨を扱う絵本と、保護者向けの実用書も紹介します。
幼児向け防災絵本の選び方とおすすめ3冊早見
防災絵本は、年齢だけで決めると、災害の描写が強すぎたり、伝えたい内容とずれたりすることがあります。
まずは、お子さまが災害の場面をどこまで受け止められるか、最初にふれる本を探しているのか、体を動かして確かめたいのかを見てみましょう。
そのうえで、年齢・怖さ・本の役割から、お子さまに合う一冊を絞っていきます。
年齢・災害の描かれ方・伝えたい内容から選ぶ
防災絵本は、対象年齢だけで決めず、お子さまの理解や反応も合わせて考えるのがポイントです。
選ぶときは、次の3つを見てみましょう。
【1】年齢と理解段階
防災の話をどこまで理解できるかは、お子さまの発達段階によって変わります。
2・3歳頃は、短い言葉やしかけ、まねできる動きがある本から。
4・5歳頃になると、地震が起きた場面を追いながら、「こんなとき、どうする?」を考える本も候補に入ります。
5・6歳頃からは、避難や家庭の備えまで扱う本へ広げてみてもよいでしょう。
【2】災害の描写や緊張感
同じ地震の絵本でも、描かれ方はさまざまです。
揺れの場面が短い本、問いかけながら進む本、避難所生活まで描く本では、受ける印象も変わります。
怖いのが苦手なお子さまには、災害の様子を強く見せない本から選ぶとよいでしょう。
【3】伝えたい内容
はじめて防災にふれるのか、体を動かしながら考えたいのか、家庭の備えまで親子で見直したいのか。
何を一緒に話したいかを先に決めると、本の違いが見えてきます。
迷ったらこの3冊|幼児向け防災絵本早見
どれから読もうか迷ったときは、お子さまの年齢と、親子で確かめたい内容に近い一冊から見てみてくださいね。
はじめて防災にふれる2・3歳へ
『新装改訂版 ぐらぐらゆれたら だんごむし!』
しかけを動かしながら、家や公園など、いる場所ごとの「どうする?」を親子で確かめられます。
年齢目安:2〜4歳頃
地震のときの身を守る動きを知りたい子へ
『どうぶつポーズで あそボウサイ』
動物になりきる六つのポーズを、親子で実際にまねしながら試せます。
年齢目安:2〜5歳頃
避難や家庭の備えまで親子で考えたいとき
『親子で学ぶ「そのとき」どうする? おおじしんから いのちをまもるえほん』
地震の発生から避難所での生活までを、時間の流れに沿ってたどれる一冊です。
年齢目安:5・6歳頃〜小学校低学年
はじめて防災にふれる幼児へ|怖がらせずに読める絵本
防災の話が初めてのお子さまには、怖さを強く見せるより、しかけや短い物語、クイズを楽しめる本から。
しかけを動かす、物語を追う、クイズに答える。
そんな読み聞かせの中で、「こんなとき、どうする?」にふれられる3冊です。
【2歳〜】『新装改訂版 ぐらぐらゆれたら だんごむし!』|しかけを動かして「どうする?」を考える
『新装改訂版 ぐらぐらゆれたら だんごむし!』は、家の中や公園、お風呂などで地震が起きたとき、身を守る動きをしかけと一緒に確かめる防災絵本です。
「ぐらぐらゆれたら、どうする?」と問いかけながら、動物たちが見せる行動をたどります。
頭を守り、体を丸める「だんごむし」のポーズ。
新装改訂版では、水や電気が使えなくなるなど、地震のあとに困ることを考えるページも加わりました。
防災という言葉がまだなじみのない幼児にも、暮らしの中の「もしも」を親子で話す入口になります。
※本ページにはアフィリエイト広告が含まれます。
しかけを動かしながら、トイレや公園、お風呂で揺れたときの身の守り方を親子で確かめます。
【2歳〜】『くんくんと かじ』|小さな子犬が知らせた火事
『くんくんと かじ』は、焦げたにおいに気づいた子犬のくんくんが、消防署へ火事を知らせに走る物語です。
駆けつけた消防士たちは、ホースで水をかけて黄色い家の火を消します。
小さなくんくんが果たす、大切な役目。
炎の恐ろしさを詳しく見せるのではなく、異変に気づいて大人へ知らせる行動を、ブルーナの簡潔な絵と言葉でたどります。
初めて火事に触れる幼児にも、困ったときには大人へ伝えることを、物語の中から受け取れる絵本です。
焦げたにおいに気づき、消防署へ走るくんくん。
火事を知らせる行動が物語から伝わります。
【3歳〜】『ぼうさいセブン』|家の中と外で「どうする?」を考える
『ぼうさいセブン』は、はるととゆいの家に現れたセブンが、地震のときの行動や日頃の備えを伝える物語です。
家の中や外、大きな建物、エレベーターなど、場所ごとに何が危険かを問いかけながら進みます。
危険な場所から離れること、頭を守ること、防災グッズの点検。
細かな絵を眺めながら、巻末の防災クイズでも親子で答えを確かめられます。
「ここで揺れたらどうする?」と、身近な場所の危険を親子で確かめる入口に。
家の中、外、エレベーター。セブンの問いに答えながら、場所ごとの危険を見つける防災絵本。
地震が起きたらどうする?身を守る行動がわかる絵本
揺れが始まったとき、いつもそばに机があるとは限りません。
家、公園、電車の中。
いる場所が変われば、考えたい動きも変わります。
動物のポーズをまねる、揺れた直後の判断をたどる、場所ごとの「どうする?」を考える。
地震の最中とその直後を、3つの角度から見つめる絵本です。
【2歳〜5歳頃】『どうぶつポーズで あそボウサイ』|動物になりきって、体で試す
『どうぶつポーズで あそボウサイ』は、机がない場所や屋外、電車の中で揺れたとき、身を守る姿勢を六つの動物ポーズで確かめる参加型絵本です。
ページを見ながら、丸くなる、低い姿勢を取る、頭を守るといった動きを親子でまねします。
「どの動物になる?」と声をかけて、まずは一緒に体を動かす。
長い説明がまだ難しい2・3歳頃にも、遊びの延長で地震への備えが伝わります。
巻末には全6ポーズの解説と家庭防災のワンポイントがあり、読み聞かせのあとも実際の動きを確かめられる構成です。
丸まる、低くなる、頭を守る。6つの動物ポーズをまねて、地震のときの動きを体で確かめます。
【4歳〜6歳頃】『おおじしん さがして、はしって、まもるんだ』|揺れた直後の「どうする?」を考える
『おおじしん さがして、はしって、まもるんだ』は、大地震が起きた直後の8秒間に、子どもが自分で身を守る動きを学ぶ防災絵本です。
合言葉は、「さがして」のうさぎ、「はしって」のねずみ、「まもるんだ」のかめ。
安全な場所を見つけて移動し、体の大切な部分を守るところまで、三つの動物の動きに重ねてたどります。
絵を見て終わるのではなく、親子で実際に体を動かしながら確かめる内容です。
巻末には、8秒間で三つの動物になる練習方法や、日頃から親子で備えておきたいことの解説もありま
揺れ始めの8秒に何をする?
うさぎ・ねずみ・かめの動きで、身を守る初期動作をたどります。
【5歳〜】『一生つかえる!おまもりルールえほん ぼうさい』|いる場所に合わせて考える35のルール
『一生つかえる!おまもりルールえほん ぼうさい』は、家や学校、町、山や川など、子どもがいる場所ごとに災害時の行動を35のルールで示す知識絵本です。
地震・津波・大雨・台風・火事・雷を取り上げ、過ごしている場所に応じた身の守り方を伝えています。
同じ災害でも、周囲にある危険や取る行動は変わる。その違いを、短い言葉とイラストでたどる構成。
家や通学路など、子どもの生活に近い場面と重ねながら考えられます。
防災ポーズ集や非常持ち出し袋のリストもあり、成長に応じて確かめたい知識まで収められています。
家、学校、町、山や川。
子どもがいる場所に合わせて考える、35の防災ルール。
📘 防災の話をしたあとに怖さや不安が残るときは、不安な気持ちに寄り添う絵本も参考になります。
避難と家庭の備えを親子で考える防災絵本
災害が起きたあとの避難と、起きる前から続ける家庭の備え。
似ているようで、親子で考えたいことは少し違います。
時間の流れをたどる一冊と、家族の日常から備えを見る一冊です。
【5・6歳頃〜小学校低学年】『親子で学ぶ「そのとき」どうする? おおじしんから いのちをまもるえほん』|地震の発生から避難所生活までをたどる
『親子で学ぶ「そのとき」どうする? おおじしんから いのちをまもるえほん』は、大地震が起きた瞬間から屋外への避難、避難所での生活までを、時系列の物語でたどる防災絵本です。
子どもだけでいるときに揺れたら、家が崩れそうなら、火事や津波の危険が迫ったら──さまざまな場面で取る行動を、すべてひらがなの本文とイラストで伝えます。
身を守って逃げるだけでなく、その後の避難所で気をつけたいことにも目を向けた構成。
保護者向けの解説や、避難用品のチェックリストも収録されています。
地震直後だけでなく、避難後の暮らしまで家庭で考えるための一冊。
揺れた瞬間から屋内外への避難、避難所での暮らしまで。
地震後に続く時間を物語でたどります。
【3歳〜6歳頃】『ぷーたのぼうさい』|家族の一日から見つめる、いつもの備え
『ぷーたのぼうさい』は、海に浮かぶ島で暮らすくまのぷーたと家族の一日を追いながら、災害への備えと身の守り方にふれる物語です。
ぷーたが抱く「なんで?」「どうして?」には、防災の専門家であるきょうこせんせいが答えていきます。
家族の日常と見比べながら考えられる、身近な防災。
怖さを前に押し出すより、知っておきたい行動や準備を、やわらかな絵と言葉で伝えています。
巻末の防災グッズリストまでたどると、「わが家には何がある?」と普段の暮らしを見直すきっかけになりそうです。
ぷーた一家の一日と比べながら、「わが家はどう?」と普段の備えを振り返るきっかけに。
地震だけではない防災へ|火事・台風・大雨の絵本
防災と聞くと、地震を思い浮かべる方も多いでしょう。
けれど、火事や台風、大雨も、お子さまが日々の暮らしの中で耳にする災害です。
それぞれの違いを絵でたどりながら、「こんなとき、どうする?」を親子で考える3冊を紹介します。
【4歳〜6歳頃】『かじ どうするの?』|火事を防ぐ約束と、起きたときの行動
『かじ どうするの?』は、火事が起こる原因と、火を出さないための約束、起きたときの身の守り方を絵でたどる知識絵本です。
暮らしに欠かせない火も、扱い方を誤ると火事につながります。
火事を防ぐために何を見るのか、起きてしまったら何をするのか。
予防と対処を分けて考える構成です。
「どこが危ない?」と絵を指しながら、火を扱うときの約束を親子で確かめられます。
火を出さないために気をつけることと、起きたときの行動を、絵を見ながら考える知識絵本。
【4歳〜6歳頃】『たいふう どうするの?』|風や雨が強くなる前から考える
『たいふう どうするの?』は、強い風で物が飛ばされたり、大雨で川の水があふれたりする危険と、台風が来る前の備えを伝える知識絵本です。
家のまわりを確かめ、避難に必要な物をそろえるなど、前もって取り組むことも具体的に描かれています。
風雨が強まったときに外へ出ないこと、川へ近づかないことも大切な約束。
天気予報で台風を知ったとき、絵を見ながら「家では何を準備する?」と親子で確かめるきっかけになります。
強い風や大雨に備えて、台風が来る前に何を準備するかを家族で考えます。
【4歳〜6歳頃】『いのちをまもる ぼうさいの絵本』|大雨の場面をクイズで考える
『いのちをまもる ぼうさいの絵本』は、地震や大雨を中心に、災害時の行動と普段の備えをクイズ形式で考える知識絵本です。
大雨のページでは、雨が強まったときに避けたい行動や、日頃から確認しておくことを取り上げています。
ページごとの問いに答えながら、危険な場面と身を守る方法を順に確かめる構成。
大雨のときに何を避け、家で何を備えるかを親子で具体的に話せます。
クイズに答えながら、地震や大雨が起きたときの行動と、普段の備えを確かめる構成。

保護者向け|幼児との避難と家庭の備えを考える防災の本
お子さまと防災絵本を読んでいると、「わが家は、この子を連れてどう動くのだろう」と、大人の側にも確かめたいことが出てきます。
子連れ避難ならではの困りごとと、自宅で過ごすための備え──家族の暮らしに重ねながら見直せる2冊です。
【保護者向け】『全災害対応!最新子連れ防災BOOK』|被災した保護者の声から考える子連れ避難
『全災害対応!最新子連れ防災BOOK』は、被災したママ・パパ1648人の体験をもとに、子どもと身を守る方法や避難生活への備えをまとめた実用書です。
東日本大震災や能登半島地震に加え、台風、豪雨、大雪の事例も取り上げています。
避難バッグ、防災グッズ、家族に合わせた備え、災害時の医療まで、子育て家庭が確認したい項目を幅広く収録。
被災時に困ったことや「あってよかったもの」が、当事者の声から具体的に見えてきます。
子どもの年齢や家族構成に照らしながら、わが家に必要な備えを洗い出すための実践的な手引きです。
1648人の被災体験から、子ども連れで困ったことと、家族に必要な備えを具体的に拾えます。
【保護者向け】『大切な家族を守る「おうち防災」』|自宅と家族に合った備えを考える
『大切な家族を守る「おうち防災」』は、防災アナウンサーの奥村奈津美さんが、水害や地震、避難生活、在宅避難、非常持ち出し袋まで、家庭で確かめたい備えをまとめた実用書です。
備蓄品を一律にそろえるのではなく、住まいの災害リスクや家族構成に合わせて考えていきます。
小さな子どもがいる家庭にも目を向け、自宅で避難生活を送る場合に必要な準備を具体的に紹介。
避難所へ向かう場合と自宅にとどまる場合の両方から、わが家に足りない備えを見直せる内容です。
自宅にとどまる場合も視野に入れ、住まいと家族に合わせた備えを考える実用書。
📘 身を守ることや、家族で支え合うことをもう少しゆっくり話したいときは、いのちについて考える絵本も参考になります。
まとめ|防災の絵本を、家族で確かめる時間へ
防災の絵本は、一度にすべてを覚えるためのものではありません。
家にいるとき、外を歩いているとき、大雨の予報を見た日。
それぞれの暮らしに近いページを開くことで、親子の会話は少しずつ具体的になります。
お子さまが成長すれば、気になる場面や受け取る言葉も変わるもの。
幼児期に読んだ一冊を数年後に開き直すと、以前とは違う問いが生まれることもあります。
絵本と保護者向けの本を行き来しながら、わが家で確かめたいことを重ねていけるとよいですね。
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