図書館のカウンターで、子どもたちから「おばけの本、ある?」と聞かれることがあります。
読んであげる側としては、どのくらい怖いのかが気になるところでしょう。
おばけ絵本には、思わず笑ってしまうお話もあれば、少しドキドキする昔話や、声や体を使って遊ぶ本もあり、楽しみ方はさまざまです。
今回は、笑えるおばけ、ちょっと怖い名作、親子で遊べる参加型の絵本をあわせた15冊を、年齢と怖さの目安を添えてご紹介します。
おばけ絵本の選び方|年齢と怖さの目安、迷ったときの3冊
同じおばけ絵本でも、思わず笑ってしまうもの、背中が少しひやりとするもの、読みながら一緒に遊ぶものと、味わいはかなり違います。
おばけが気になりはじめた子に、どのくらいの怖さの本を手渡せばいいのかは、迷うところでしょう。
ここでは、選ぶときに見ておきたい点と、迷ったときの3冊を紹介します。
おばけ絵本を選ぶときのポイント
この記事で紹介する絵本には、すべて年齢と怖さの目安を添えてあります。
怖さの目安は、次の3つです。
🙂 ほぼなし
おばけは出てきても、おかしな展開やおいしそうな場面、やさしいやりとりが物語の中心です。
😳 ちょっとドキドキ
夜の場面や、おばけとの思いがけない出会いに、少し胸が高鳴ります。
ドキドキのあとに、笑いやほっとする場面が待っている作品が中心です。
👻 怖さ強め
結末まで含めて、ぞくっとする怖さが残る作品です。
読む前に大人が一度目を通しておくと、読むタイミングを考える手がかりになります。
同じ年齢でも、笑い飛ばす子もいれば、表紙だけでどきりとする子もいます。
年齢と怖さの目安に加えて、笑いたいのか、ドキドキしたいのか、一緒に遊びたいのかを考えてみるのも、ひとつの方法です。
※年齢と怖さは、本選びの参考となる目安です。怖さの感じ方には個人差があり、同じ絵本でも受け止め方は異なります。
おすすめ早見3冊
迷ったときは、楽しみ方の異なるこの3冊から手に取ってみるのもいいですね。
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笑って楽しみたい子に
『おばけずし』
お客さんの来ないお寿司屋さんに、本当におばけがやって来るお話です。
お寿司を喜んだおばけは、お礼に「おばけの魚」を釣ってきますが、さて食べられるのでしょうか。
年齢目安:3歳頃から
怖さ:🙂 ほぼなし
少しドキドキしたい子に
『おんぶおばけ』
おんぶをせがむおばけが出るという峠へ、ばあちゃんが向かう昔話です。
おばけを背負って子守うたを歌うばあちゃんの姿に、温かさがにじみます。
年齢目安:3歳頃から
怖さ:😳 ちょっとドキドキ
親子で遊びたい子に
『おばけとかくれんぼ』
本にさわったり、ゆらしたり、声をかけたりして、絵本の中のおばけとかくれんぼをする参加型の絵本です。
読む大人の呼びかけに、子どもが手や声で応えながら、お話が進んでいきます。
年齢目安:3歳頃から
怖さ:🙂 ほぼなし
📘 ハロウィンの行事に合わせておばけ絵本を探すときは、幼児向けハロウィン絵本14選も参考になります。
かわいくて、笑える。おばけと友だちになれる絵本
おばけの話には目を輝かせるのに、暗い場面になると急に大人の袖をつかむ。
そんな姿を見ていると、まずは笑えるおばけから会わせてあげたくなるものです。
童謡にのせて現れるおばけ、ごちそうで姿が変わるおばけ、お菓子のおばけなど、この章の7冊には、怖さより親しみが先に立つおばけたちが登場します。
気になるおばけから、のぞいてみるのもいいですね。
『おばけなんてないさ』|歌って楽しむ、せなけいこさんの貼り絵のおばけ
「おばけなんてないさ」と口ずさんだことのある人も多い童謡が、一冊の絵本になりました。
絵は、おばけの絵本で知られるせなけいこさんの貼り絵です。
歌詞は5番まであり、ページをめくるたびに、ユーモラスなおばけたちが顔を出します。
「ないさ」と言い張りながら、本当はちょっとこわいという歌の気持ちを、やわらかな貼り絵が包みこんでいます。
巻末には楽譜がついているので、読み聞かせのあとに、親子で歌ってみるのも楽しそうです。
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歌いなれたメロディーにのせて、おばけと出会える歌絵本です。
大人も子どもも、声をそろえて歌えるのがうれしいところ。
怖さの目安:🙂 ほぼなし
『おばけパーティ』|食べたもので姿が変わる、おばけたちの晩さん会
おばけのアンリが友だちを招いて、ごちそうをふるまうフランス生まれの絵本です。
テーブルを囲んだおばけたちが料理を口にすると、思いもよらないことが起こります。
食べたものや飲んだものによって、おばけたちの姿が変わっていくところが、このお話のおもしろさ。
料理が運ばれるたびに、おばけの姿がどう変わるのかを、ページをめくって確かめていく楽しさがあります。
おばけがごはんを食べると、いったいどうなるのか。
その答えは、ページをめくってのお楽しみです。
怖さの目安:🙂 ほぼなし
『おばけずし』|ひまなお寿司屋さんと、おばけのお客
ひまなお寿司屋さんが「おばけでもいいから来てくれないかなぁ」とつぶやくと、その願いはあっさりかなってしまいます。
文を苅田澄子さん、絵を柴田ケイコさんが手がけた、ふたりの持ち味が合わさったユーモア絵本です。
柴田さんの描くお寿司はカラフルで、ネタのひとつひとつまで眺めていたくなります。
お礼に届いた「おばけの魚」は、はたして食べられるのか。
おばけとお寿司という思いがけない組み合わせに、読む大人のほうが先に笑ってしまうかもしれません。
おばけの魚って、どんな味がするんだろう。
読み終えたあと、そんな想像を親子で話してみるのも楽しいですね。
怖さの目安:🙂 ほぼなし
『おばけのかわをむいたら』|むいたら何が出る?予想を裏切るナンセンス
主役は、皮をむかれるおばけたち。
みかんやバナナのように、おばけの皮をむいてみると、中から思いもよらないものが現れます。
何が出てくるのか予想しても、見事に外れてしまうところが、この絵本のおかしさです。
作者のたなかひかるさんはお笑い芸人でギャグ漫画家でもあり、絵本『ぱんつさん』では日本絵本賞を受けています。
意味や教訓を探すより、次に何が出るかを一緒に笑って待つ、そんな読み方が合う一冊です。
「次は何が出てくると思う?」
ページをめくる前のひと呼吸まで、親子で楽しめる一冊です。
怖さの目安:🙂 ほぼなし
『おかしなおかしの おばけのくに』|妖怪がお菓子に?おばけ兄弟のいたずら合戦
アイスクリームのおばけの5人兄弟がたどり着いたのは、お菓子のおばけたちが暮らす国でした。
ちょうちんキャンディーやいったんもめんガムなど、どこかで聞いたことのある妖怪の名前が、お菓子の姿になって登場します。
兄弟とお菓子のおばけたちのあいだで始まるいたずら合戦は、どちらが一枚上手なのか、最後まで目が離せません。
描かれたお菓子は13種類以上で、ページごとに見つけていく楽しさもあります。
妖怪が元になっていても、怖がらせる場面よりおいしそうな場面が先に目に入る、明るいお菓子の絵本です。
カッパジャムクッキーはどこかな?
お菓子の名前を声に出しながら、絵のなかを探してみるのもいいですね。
怖さの目安:🙂 ほぼなし
『おばけのやだもん きょうりゅうがやってきた!』|絵本から飛び出した、迷子の恐竜
やだもんは、だだをこねる子にくっついて、おばけにしてしまうおばけです。
シリーズ10作目のこの巻では、じゅんくんとやだもんの前に、絵本のなかから恐竜のトリちゃんが飛び出してきます。
どうやらトリちゃんは迷子のようで、お母さんに会えるのかどうかが、お話の気がかりなところです。
いつもはだだっこを探しているやだもんが、この巻では、だだっことは違う相手と向き合うことになります。
絵本のなかから、恐竜が飛び出してくる。
やだもんとトリちゃんの思いがけない出会いを、ページをめくって見届けてみませんか。
怖さの目安:🙂 ほぼなし
『おばけのてんぷら』|揚げたての匂いにさそわれた、山のおばけ
揚げたてのてんぷらの匂いは、おばけにとってもごちそうのようです。
うさこがごきげんでてんぷらを揚げていると、その匂いにさそわれて、山のおばけがそっと家に忍びこんできます。
毎日の台所の場面に、山のおばけがまぎれこむ取り合わせのおかしさが、この絵本の持ち味です。
1976年に刊行されてから、せなけいこさんのおばけ絵本として長く読み継がれてきました。
同じ作者の『ねないこ だれだ』とはまた違う、くすっと笑えるおばけに会える一冊です。
台所のいい匂いと、山のおばけ。
今夜の台所にも、おばけがそっとのぞきに来ているかもしれませんね。
怖さの目安:🙂 ほぼなし
ちょっと怖いけど気になる、ドキドキのおばけ絵本
「こわい」と言いながら、同じおばけの本を何度も持ってくる。
怖いもの見たさは、大人にも覚えのある気持ちではないでしょうか。
この章では、夜の時間を描いた名作、おばけになってみる男の子、おばけを背負うばあちゃん、夜の動物園へ出かけるおばけの子と、ドキドキの種類が異なる4冊を紹介します。
結末の怖さがはっきりしている作品もあるので、怖さの目安もあわせて確かめてみてください。
『ねないこ だれだ』|夜ふかしの子を待つ、おばけの時間
夜がふけて、静かになった町。
ふくろうやどらねこ、どろぼうが起きている時間は、もうおばけの時間です。
そんな時間にまだ眠らずにいる子どもは、おばけの世界へ連れていかれてしまいます。
怖い結末をやわらげずに描ききっているのが、この絵本の強さです。
せなけいこさんの貼り絵は、シンプルな形と色だけで、夜の静けさとおばけの気配を伝えています。
夜の静けさと、おばけの気配。
怖い結末まで含めて、1969年から長く手渡されてきた名作です。
怖さの目安:👻 怖さ強め
『いちにちおばけ』|一日だけ、おばけになってみたら
おばけがこわい男の子が思いついたのは、いちにちだけおばけになってみることでした。
からかさおばけになれば雨の日もへっちゃら、ゆきおんなになればかき氷をふるまえると、おばけの得意技を次々に試していきます。
のっぺらぼうの顔に自分で絵を描いたり、くちさけおんなの大きな口でケーキをひと口で食べたりと、こわいはずのおばけが、ちょっと楽しい存在に見えてくるから不思議です。
「ザザザザ」「バクバク」といった擬音とコミカルな絵のかけ合いも、読む声に弾みをつけてくれそうです。
「いちにち」シリーズの4作目で、メデューサやミイラおとこなど、西洋のおばけも登場します。
ぼくがおばけになったら、何をしよう。
読み終えたら、親子で「なりたいおばけ」を言い合ってみるのもいいですね。
怖さの目安:😳 ちょっとドキドキ
『おんぶおばけ』|おんぶをせがむおばけと、ばあちゃんの子守うた
いもとようこさんが文と絵を手がける「いもとようこの日本むかしばなし」シリーズの一冊です。
おんぶをねだるおばけが出るという、うわさの峠。
ところが、そこへ向かったばあちゃんは、おばけを背負って子守うたを歌いはじめます。
うれしそうなおばけの姿と、そのあとに訪れる思いがけない結末に、ほっと心がゆるむ昔話です。
いもとようこさんのやわらかな絵が、おばけの怖さをほどよく包んでいます。
こわいはずのおばけが、背中でうれしそうにしている。
その姿に、昔話らしい温かさを感じる一冊です。
怖さの目安:😳 ちょっとドキドキ
『おばけのルルンとよるのどうぶつえん』|夜の動物園で、おばけの子がひと仕事
ルルンは、町はずれの古い家で暮らすおばけの子です。
ある日の夕方、鳥たちが「夜の動物園が始まっちゃう」と騒ぐ声を聞いて、ルルンは思いきって動物園へ出かけていきます。
夜の動物園でルルンを待っていたのは、動物たちからの頼みごとでした。
夜の場面のドキドキと、ちょっとクールでやさしいおばけの活躍が、一冊のなかで同居しています。
動物たちの頼みごととは、いったい何だったのか。
ルルンと一緒に、夜の動物園をのぞいてみませんか。
怖さの目安:😳 ちょっとドキドキ
📘 おばけや暗い場面を怖がるときは、子どもの“こわい気持ち”に寄り添う絵本も参考になります。

声や体を動かして楽しむ、参加型のおばけ絵本
読み聞かせの途中で、絵本に手をのばしたり、急に声をあげたりする。
じっと聞くより、一緒に動きたい時期もあるでしょう。
この章の4冊は、さわる、ゆらす、ボタンを押す、踊るなど、読む人と聞く人がいっしょにお話を動かしていく参加型の絵本です。
『おばけとかくれんぼ』|本をゆらして、くすぐって、おばけと遊ぶ
舞台は、おばけたちが暮らすおうちです。
おばけとかくれんぼをしながら、本をゆらしたり、くすぐったり、声をかけたりと、子どもが自分の手と声で絵本に働きかけていきます。
くもん出版の「えほんとあそぼ」シリーズのひとつで、物語に参加するインタラクティブな絵本として作られた一冊です。
ページの向こうから届く呼びかけに応えるたびに、おばけとの遊びが一歩ずつ進んでいきます。
「どこにいるの?」と声をかけるところから、もう遊びは始まっています。
読み終えるころには、絵本の中のおばけがすっかり遊び相手になっているかもしれません。
怖さの目安:🙂 ほぼなし
『おばけとおやすみ』|なでて、ゆらして、おばけたちを寝かしつけ
おばあちゃんの家にいるおばけたちを、今夜は子どもたちが寝かしつける番です。
ねこおばけをなでたり、ぬいぐるみおばけのゆりかごをゆらしたり、木のおばけにあくびをうつしたりと、ひとりずつ違う方法で眠りへ誘っていきます。
ところが、5人のおばけがベッドに入っても、部屋が明るくて眠れないのだとか。
『おばけとかくれんぼ』と同じ新井洋行さんの作品ですが、こちらはそっと、やさしく触れる動きが中心です。
子守唄を口ずさみながらページをめくる時間は、一日の終わりの読み聞かせにもなじみそうです。
おばけを寝かせてあげる役まわりが、子どもにはちょっと誇らしいかもしれません。
部屋が明るくて眠れないおばけたちを、さて、どうしましょう。
怖さの目安:🙂 ほぼなし
『ぜったいに おしちゃダメ? ラリー と おばけ』|停電の夜、ボタンをめぐって何が起こる?
押しちゃダメと言われると、かえって押したくなるボタンが、このシリーズの主役です。
ボタンを押してはいけないと考えるラリーの前で、突然の停電をきっかけに、思わぬ展開が始まります。
ページをめくりながら、読む人自身もボタンをめぐるやりとりに巻きこまれていく参加型の作りです。
押していいのか迷う時間さえ、この絵本では遊びの一部なのかもしれません。
アメリカ生まれの絵本作家ビル・コッターさんによる人気シリーズの一冊で、おばけが出てきても、怖さよりおかしさが先に立ちます。
ボタンを押すのは、ちょっとだけドキドキ。
そのドキドキごと笑いに変えてくれるのが、ラリーの絵本らしいところです。
怖さの目安:🙂 ほぼなし
『おばけダンス』|真夜中のおばけたちと、いっしょに踊ろう
みんなが寝静まった真夜中、おばけたちがリズムに乗ってやってきます。
「おどろん おどろん おどろんろん」という言葉にのせて、いったんもめんやからかさおばけが次々に姿を見せるのです。
ことば遊びは絵本ユニット「おむすびひろば」、ポップな絵は『おばけとかくれんぼ』と同じ新井洋行さんが担当しています。
新沢としひこさん作曲のオリジナルソング「おばけダンス」の楽譜も収録されているので、歌いながら踊ることもできそうです。
真夜中の暗さと、歌って踊る明るさが、ページのなかで隣り合っています。
「おどろん おどろん」と声に出したら、体が動き出しそうです。
おばけと一緒に、リビングがちょっとしたダンスホールになるかもしれません。
怖さの目安:🙂 ほぼなし
まとめ|こわいけど、どこか身近。絵本のおばけと過ごす時間
絵本のなかのおばけたちは、お寿司に喜び、てんぷらの匂いにつられ、おんぶをせがみ、明るい部屋で眠れずにいます。
ふり返ってみると、こわいはずのおばけは、案外わたしたちとよく似た暮らしをしているのかもしれません。
読み終えたあと、お子さまにぜひ「どのおばけに会ってみたい?」と聞いてみてください。
こわいと感じた気持ちも、くすっと笑った気持ちも、おばけ絵本を開いたからこそ味わえるものです。
本棚の片すみにお気に入りのおばけが一冊いると、読み聞かせの時間がほんの少しにぎやかになりそうです。
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