公園で拾ったどんぐり、風に舞う落ち葉、芋掘りで出会った大きなおいも。
幼児にとって秋は、目で見て、手で触れて、味わいながら広がっていく季節です。
秋の絵本も、空や木々を描くもの、食べものを楽しむ物語、行事や動物の暮らしに触れる作品までさまざま。
年齢だけで分けるより、いま心を向けているものから選ぶと、親子の体験と本の世界が重なります。
今回は、2歳〜6歳頃の幼児に合う秋の絵本を、自然・木の実・食べもの・行事・生きものに分けて紹介します。
お子さまが見つけた秋から、読みたい一冊を探してみませんか。
幼児に合う秋の絵本の選び方・早見
秋の絵本は、どんぐり、落ち葉、おいも、行事など、入り口が多彩です。
年齢だけで決めるより、お子さまがいま心を向けているものから見ると、候補が絞れてきます。
まずは、選び方の3つの軸と、迷ったときの早見3冊を見ていきましょう。
幼児向けの秋の絵本を選ぶポイント
幼児向けの秋の絵本は、年齢だけで決めるより、「何を見つけたか」「どんな読み方を楽しんでいるか」「いつ読むか」の3点を見ると、選ぶ理由がはっきりします。
迷ったときは、次の3つの視点から確かめてみましょう。
【1】お子さまの中に残っている秋
どんぐりを拾った、落ち葉の音を楽しんだ、おいもを持ち帰った。
最近心に残った出来事から、題材を選びます。
【2】いま楽しんでいる読み方
2・3歳頃には、ことばの響きや大きな絵を楽しめる本から。
4歳頃からは、季節の変化をたどる物語や、自然を細かく描いた本も候補です。
絵をじっくり眺めるのか、物語の続きを知りたがるのかも見ておきたいところ。
【3】体験の前に読むか、あとに読むか
行事の前には、これから出会う場面を描いた本を。
終わったあとなら、覚えている音や景色をもう一度たどれる作品が重なります。
迷ったときに選びたい秋の絵本早見
どこから選ぶか迷ったら、秋の景色、散歩の発見、食べものの3つから見てみましょう。
お子さまの年齢や、最近心に残った体験に近い一冊を選べます。
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色づく木々や秋の空を感じる絵本
高く見える空、頬に触れる風、少しずつ色を変える木々。
ここでは、幼児の目線で秋をたどる本から、季節の移り変わりや幻想的な物語を味わう作品まで紹介します。
【2歳〜4歳頃】『あきぞらさんぽ』|どんぐりと赤い落ち葉に出会う秋さんぽ
『あきぞらさんぽ』は、秋のつめたい風のなかを歩き、どんぐりやみのむし、真っ赤な落ち葉に出会う散歩のお話です。
はっぱも空もどんぐりも、ページの中で秋の色に染まっています。
身近なものをひとつずつ見つけていく、ゆるやかな展開。
散歩の前後に開けば、外で見つけた木の実や葉の色と絵本の場面が重なります。
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どんぐり、みのむし、真っ赤な落ち葉。
やわらかな絵に、季節の気配が重なります。
【3歳〜6歳頃】『おちば』|色も音も手触りも、全身で味わう
『おちば』では、一枚の赤い葉を見つけた男の子が、落ち葉を集めてまき散らし、大きな山へ飛び込みます。
赤や黄色に染まった森の景色と、しゃくしゃくと響く音が、落ち葉遊びの楽しさを生き生きと伝えます。
葉に包まれた男の子が耳を澄ます場面では、にぎやかな遊びから秋の静けさへ。
公園や園庭で落ち葉に触れた記憶と重ねながら、自然の色や音を親子で味わえる作品です。
落ち葉を集めて空へ放り、大きな山へジャンプ。
「しゃくしゃく」「ざくざく」まで聞こえてくる外遊び。
【3歳〜6歳頃】『いぬのにっちゃんあきとふゆ』|草花や生きものを探して、秋から冬へ
『いぬのにっちゃんあきとふゆ』では、にっちゃんとねずみ君が、身近な植物や生きものを探しながら季節の変化をたどります。
色とりどりの葉が広がる秋から、草花が枯れた冬の河原へと移っていく景色がていねいに描かれています。
寒い季節にも、小さな命はひっそりと活動中。
巻末の図鑑さくいんと見比べれば、散歩で出会った自然をもう一度確かめられます。
色づく葉から冬の河原まで、にっちゃんと身近な自然を探検。植物や生きものの豆知識を収めた図鑑さくいん付き。
【3歳〜5歳頃】『オリーとおちばのまほう』|迷子の黒ねこを追って、落ち葉の秘密の道へ
『オリーとおちばのまほう』の始まりは、オリーとネコのパンプキンが落ち葉の山へ出かける秋の朝です。
風に舞う落ち葉の中から、迷子の小さな黒ネコが現れます。
家を探すふたりを待つ、ひみつの道と、切り込みから次の絵がのぞくしかけ。
落ち葉の季節感と、迷子の子ネコの家を探す冒険が一緒に描かれています。
風に舞う落ち葉の中から、迷子の黒ネコが登場。切り込みのしかけとともに、家を探す冒険が動き出します。
どんぐり・落ち葉・マツボックリで秋を楽しむ絵本
どんぐりや落ち葉を持ち帰った日は、絵本を選ぶ手がかりもはっきりします。
ころころ転がる動きに惹かれるのか、友だちとの遊びを楽しみたいのか、形を並べたいのか、木の実の向こうにいる生きものまで知りたいのか。
ここでは、秋の拾いものから広がる4つの楽しみをたどります。
【2歳~5歳頃】『どんぐりず』|木から地面まで、5人そろってよーいどん!
『どんぐりず』は、どんぐり5人組が木から落ち、地面へ着くまでの道のりをにぎやかに描きます。
走ってころころ、転んでずこーっ、池ではばしゃばしゃ。
鉛筆で描かれた表情と大きな動きに、どんぐりたちの勢いが詰まっています。
「ころころ」「ずこーっ」と声に出すたび、次にどんな動きが飛び出すのかを追いかけたくなる展開です。
「ころころ」「ずこーっ」「ばしゃばしゃ」。
5人組の競走を、声と絵の勢いで追いかけます。
【2歳~4歳頃】『どんぐりくりくり おともだち』|はっぱ電車とぶらんこで秋あそび
『どんぐりくりくり おともだち』では、どんぐりのかっちゃん、しいちゃん、くうちゃんが、はっぱ電車やはっぱぶらんこで遊びます。
大きくこいだ勢いで投げ出され、坂道をころころ。
遊びが次の展開へ転がっていきます。
「ガッタンゴットン」「ぶうらん ぶうらん」と、声に出して楽しめる言葉のリズム。
葉っぱとどんぐりから遊びが広がる、秋らしいお話です。
はっぱ電車に、はっぱぶらんこ。
どんぐり3人組と味わう、秋の小さな遊園地。
【3歳~5歳頃】『おちばで おえかき』|赤い丸、黄色い丸。木が描く秋の絵
『おちばで おえかき』のなつめちゃんは、茶色い落ち葉を踏みながら秋の公園を歩いていきます。
モミジの木の下には赤い丸、イチョウの木の下には黄色い丸。
木が地面に絵を描いたような景色に気づくと、なつめちゃんも落ち葉を並べ始めました。
自然がつくる模様を見つけ、自分のおえかきへ広げていくところまで、落ち葉遊びの楽しさが丁寧に描かれています。
モミジの下には赤い丸、イチョウの下には黄色い丸。
地面いっぱいの秋が、なつめちゃんのおえかきへ変わっていきます。
【6歳頃〜小学校低学年】『科学絵本 リスのエビフライ探検帳 ~マツボックリの大変身!~』|食べあとからリスの暮らしを追う
『科学絵本 リスのエビフライ探検帳 ~マツボックリの大変身!~』が追うのは、エビフライそっくりの形をしたマツボックリの食べあとです。
どうしてこの形になるのかを確かめながら、リスがどんな針葉樹を好むのか、その種類や生態へと視野を広げます。
著者が全国で集めたコレクションを比べると、マツボックリに残された違いも見えてきます。
森に落ちた小さな痕跡から、そこに暮らすリスや周囲の環境まで探っていく科学絵本です。
エビフライそっくりの食べあとから、リスの種類、生態、森の環境へ。
マツボックリひとつが、森を読み解く手がかりに。
おいも・くだもの・きのこを味わう絵本
土から抜けた瞬間の重さ、家族で囲む料理、森でひらくきのこの世界。
同じ「秋の食べもの」でも、絵本が映す場面はひとつではありません。
ここでは、収穫の手ざわりから食卓の物語、きのこの観察まで、実りの季節を違う角度から描く本を取り上げます。
【3歳~6歳頃】『ごろんずっしり さつまいも』|たねいもから収穫まで、土の中の成長を追う
『ごろんずっしり さつまいも』が描くのは、たねいもから芽が出て、苗を畑に植え、収穫を迎えるまでです。
葉と根が伸び、太陽の力を受けて根がずずんとふくらむ様子を、土の上と中からたどります。
安納いもや鳴門金時など、色や形の異なるさつまいもにも注目。
芋掘りの前後に読むと、掘り出した一本がどのように育ったのかまで確かめられます。
たねいもから芽が出て、土の中で根がふくらみ、ずっしり収穫。一本のおいもが育つ時間を追います。
【3歳~5歳頃】『20ぴきの おいしい あき』|集めた実りを家族の食卓へ
『20ぴきの おいしい あき』は、18匹のきょうだいと父さん、母さんが、秋のおいしいものを集めるところから始まります。
くりごはん、きのことおいもの煮物、どんぐりと山ぶどうのケーキへと、実りが次々にごちそうへ変身。
細かな画面には、20匹それぞれの動きや表情が描き込まれています。
集める喜びから、料理を作り、家族そろって味わうところまで、秋のおいしさをたっぷり楽しめます。
くりごはんに煮物、山ぶどうのケーキ。
20匹の家族と囲む、森の実りたっぷりの食卓です。
【3歳~6歳頃】『くまくんこぐまくんのおいもほり』|掘ったおいもをどう食べる?
『くまくんこぐまくんのおいもほり』は、たくさん掘れたおいもを前に、ふたりの食べたい料理が分かれるところから始まります。
くまくんは天ぷら、こぐまくんは焼きいも。
食べ方をめぐる、なかよしコンビの相談。
掘って終わりではなく、「どう食べる?」まで続くところに、収穫後の楽しさが詰まっています。
天ぷらにする? 焼きいもにする?
掘ったあとの相談まで、いも掘りの楽しみは続きます。
【4歳~6歳頃】『きのこって なんだろう?』|ベニテングタケの一生から、きのこの正体へ
『きのこって なんだろう?』がたどるのは、ベニテングタケが現れ、成長し、やがて姿を消すまでです。
いつの間にか生えているように見えるきのこを、ライフサイクルから見つめ直します。
さまざまな場所で育つ、色も形も異なるきのこたち。
「食べられるか、毒か」だけでは分からない、身近な菌類の生き方へ目が向く科学絵本です。
いつの間にか現れ、やがて姿を消すきのこ。
ベニテングタケの一生から、その正体へ迫ります。
お月見・運動会・秋のおまつりを楽しむ絵本
月を食べものに見立てるお月見、にぎやかさを味わう運動会、森の家族と遊ぶ秋まつり。
同じ秋の行事でも、絵本が見せる楽しみは一冊ずつ異なります。
予定の前に雰囲気を知りたい日にも、終わったあとに思い出をたどりたい日にも、重なる作品を見つけてみましょう。
【3歳~4歳頃】『おいしそうな おつきみ』|月がみかんやドーナツに見えてくる
『おいしそうな おつきみ』では、お父さんとかずきが十五夜の月を見上げます。
「みかんみたい」「すいかみたい」と始まった会話は、だんごやドーナツへ。
行事の由来を詳しく説くのではなく、まあるい月から次々と食べものを思い浮かべる二人のやり取りが中心です。
月の形を見立てて遊ぶ面白さが、十五夜を親しみのある行事として描いています。
みかん、すいか、だんご、ドーナツ。
まあるい月を見ながら、お父さんとかずきの想像がふくらみます。
📘 月やお団子、十五夜を描いた絵本をもう少し見比べたいときは、幼児向けのお月見絵本も参考になります。
【3歳〜4歳頃】『うんどうかいバス』|借りもの競走は地球の外へ!
『うんどうかいバス』は、白組のいただきバスチームと紅組のごろにゃんバスチームが競う、ちょっと変わった運動会を描いています。
バスくんとねずみくんたちが「位置について、よーいどん!」と飛び出し、借りもの競走では会場を離れ、ついには地球の外へ。
行事の緊張や勝敗より、競技が予想外の方向へ広がる面白さが前に出た展開です。
掛け声とともに、バスシリーズらしい大胆な運動会が繰り広げられます。
白組と紅組が、ちょっと変わった競技で大勝負。
借りもの競走は、ついに地球の外へ飛び出します。
📘 かけっこやダンス、勝ち負けの気持ちまで描いた本を探すときは、幼児向けの運動会絵本も参考になります。
【3歳~6歳頃】『14ひきのあきまつり』|ろっくんを探して、不思議な秋祭りへ
『14ひきのあきまつり』の秋の森では、子どもたちがおばあちゃんとかくれんぼの最中です。
ろっくんだけが見つからず、クリタケたちを追ううちに、カエルやどんぐりがみこしを担ぐ祭りへ迷い込みます。
かまきりやとかげ、とんぼまで加わり、森じゅうに響く「せいや せいや」の掛け声。
紅葉の美しさの中に、森の実りと生きものたちの生命力が画面いっぱいに広がります。
ろっくんを探して森の奥へ進むと、どんぐりやカエルのみこしが登場。
秋の森が、にぎやかな祭りへ動き出します。

虫や動物の秋をのぞく絵本
木の実を集める動物、冬の巣穴へ向かうヒグマ、どんぐりの中で育つ小さな虫。
秋の野山では、目に見えないところでも生きものたちの時間が進んでいます。
かわいらしい物語から、姿や暮らしを細かく追う自然絵本まで。
ページを進めるほど、秋の生きものを見る目も深まっていきます。
【4歳~6歳頃】『ポコタのきのみ』|まねして気づく、それぞれの冬じたく
『ポコタのきのみ』のポコタは、りすやねずみが冬に備えて木の実を土へ埋める姿を見て、自分もまねを始めます。
けれど、埋めた場所を覚えられず、「ぼく、だめだなあ」としょんぼり。
仲間の言葉から、たぬきには冬前にたくさん食べ、体に蓄える備え方があると気づきます。
ポコタが自分に合った冬じたくを知るまでを、秋の森の実りとともに描く細密な水彩画も見どころです。
りすやねずみをまねたポコタが、自分に合った冬じたくを発見。
細密な水彩画に、秋の森の実りと仲間の温かさが息づきます。
【4歳~6歳頃】『ひぐま』|秋の実りを食べ、冬の巣穴で命を育む
『ひぐま』の始まりは、赤や黄に色づく秋の山で、木の実やくだものを食べる一頭のヒグマです。
やがて雪が降り、静かな巣穴の中で赤ちゃんが生まれます。
母グマは春まで飲まず食わずで乳を与え、子グマたちは暗い穴の中で成長。
春、親子が光の中へ踏み出すまでが、冬眠と子育てをひと続きの命の営みとして描かれています。
木の実を食べる秋から、雪の巣穴での出産、春の旅立ちまで。
母グマと子グマの命の時間をたどります。
【3歳~5歳頃】『どんぐりころころむし』|穴のあいたどんぐりから、小さな虫がころり
『どんぐりころころむし』は、拾ったどんぐりをびんに入れておくと、いつのまにか穴が開き、小さな虫が現れるところから始まります。
そっとなでると、虫はどんぐりのようにころころ。
ぴかぴかの実と小さな虫が並ぶ画面に、身近な自然で起きた驚きが詰まっています。
穴のあいたどんぐりと虫の動きを通して、木の実の中にいた生きものを伝える科学絵本です。
びんの中のどんぐりに、小さな穴がぽつり。
現れた虫がころころ転がる、身近な自然のびっくり。
【4歳~6歳頃】『絵巻えほん 虫』|広げると全長2.8メートル、里山に暮らす虫たち
『絵巻えほん 虫』では、折りたたまれた画面を広げると、全長2.8メートルの里山が現れます。
季節と時間が移るなか、約140種類の虫たちが、草むらや水辺、木々の間で活動しています。
見開きごとに細部を確かめても、すべてをつなげて里山全体を眺めても楽しめるアコーディオン式。
文字をほとんど使わず、虫の姿や居場所を精緻な絵で語る造本です。
全長2.8メートルの絵巻に、約140種類の虫。
季節と時間が移る里山を、端から端まで見渡せます。
まとめ|幼児と秋の絵本を楽しもう
絵本を開くと、いつもの景色にも小さな変化が見えてきます。
色を変えた葉、土から現れたおいも、夜空の月、冬を迎える生きものたち。
ページで出会ったものを、次のお散歩や食卓でも確かめたくなる季節です。
一冊を読み終えたら、心に残った場面を実際の秋と重ねるところまで。
外へ出る日も、家でゆっくり過ごす日も、お子さまの「見つけた」が少しずつ重なっていきます。
今年の秋が、絵本の中と目の前の景色を行き来する、豊かな時間になりますように。
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